ジュード・ロウ/Jude Law
 実力を兼ね備えた正統派美男子

昔の銀幕のスターを思わせるクラシックな美貌と気品を持つジュード・ロウ。しかし彼の魅力はその美しさだけではありません。今回は、様々な顔を見せる俳優、ジュード・ロウに迫ります。

 1972年12月29日、イギリス・ロンドン生まれ。ジュードという名前は、ビートルズの名曲「ヘイ・ジュード」、またはトマス・ハーディの小説「日陰のジュード」(マイケル・ウィンターボトムが映画化)からとったともいわれています。幼いころは、その美貌ゆえ苛められたそうですが、それにもめげずケンカを覚え、その地域のガキ大将になったという逸話も。ただ美しい役柄だけでは満足せず、果敢にいろいろなジャンルに挑戦する現在の彼の原型は、この頃につくられたものかもしれません。
 さて、そんなジュードが芝居をはじめたのは12歳のとき。本格的に俳優を目指すため17歳で高校を中退、同年テレビドラマの「Families」('90)に出演し、93年には『ショッピング』で映画デビューを飾ります(この共演がもとで女優のセイディ・フロストと結婚。※後に離婚)。その後は舞台活動をメインにし、「恐るべき親たち」ではトニー賞の助演男優賞にノミネートされるなど一部では知られた存在でしたが、97年の『ガタカ』で演じたジェローム役でアメリカに進出。一気に注目を浴びます。90年代のSF映画の傑作との呼び声も高いこの映画ですが、“完璧なる男”ジェロームが際立っていたのは、彼の美しさ、憂いを秘めた演技があってこそでしょう。この年、ジュードはケビン・スペイシー主演の『真夜中のサバナ』や、文豪の波乱万丈な生涯を描いた『オスカー・ワイルド』、第二次大戦中のナチス収容所内が舞台の『ベント/堕ちた饗宴』に出演していますが、演じたのはいずれも男娼やゲイという役柄。彼の美しさは女性に限らず男性も惹きつけるのでしょうか……?
 ところで、ジュードといえば製作にも意欲的で、95年には友人のユアン・マクレガーやジョニー・リー・ミラーとともに、ナチュラル・ナイロンという製作会社を設立。仲間とともに出演した『ロンドン・ドッグス』('99)や、『チューブ・テイルズ』('99)、『ファイナル・カット』(00)など、積極的に活動しています。特にロンドンの地下鉄を舞台にしたオムニバス映画『チューブ・テイルズ』では、ユアンとともに監督業にも挑戦。初の監督作「手の中の小鳥」は、地下鉄に迷い込んできた小鳥を老人(ジョニー・リー・ミラーのお父さん)が助けてあげるという、なんとも心安らぐ物語でした。
殺し屋を演じた『ロンドン・ドッグス』('99)
 また、同じく99年に出演したアンソニー・ミンゲラ監督作『リプリー』では、アカデミー賞助演男優賞にノミネート。このほか鬼才デヴィッド・クローネンバーグの『イグジステンズ』('99)、スティーブン・スピルバーグの『A.I.』(01)でのジゴロ・ロボット、サム・メンデス監督の『ロード・トゥ・パーディション』での悪役など、常にジャンルや役柄にとらわれない活動を続けています。

「僕にとって、シンデレラの王子様を演じるのが一番つまらないことだ。やるなら僕は悪い魔法使いのほうがいい」
と語るジュードは、『チューブ・テイルズ』でこうも述べています。
「人生の年輪が刻まれた顔が撮りたかった。しわのない若い顔は善人か悪人のどちらかしかないからね」
 彼にとっての「美しさ」とは何か? それは見た目の美しさだけではなく、これまでに培ってきた経験や実力が滲み出たもののことを言うのでしょう。インディペンデントや大作映画、俳優や製作者など様々な顔を見せるジュード・ロウ。
次に何をやるのか予想がつかないところが、一番の魅力なのかもしれません。


■ジュード・ロウの最新作『コールド マウンテン』をチェック!
 『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ最新作。南北戦争で離れ離れになった恋人の過酷な運命を描く。ジュード・ロウが演じるインマンは、ニコール・キッドマン扮する深窓の令嬢エイダに恋する男。たった一度の口づけで運命の恋と悟ったインマンは、出征後、500kmの道のりを越えてエイダの元へ戻る決意をするのだが…。
 命の危険にさらされながらも、ひたすらエイダを想い続けるインマン。その一途な想いは、繊細な雰囲気と、人を惹きつけずには居られない魅力を持つジュード・ロウだからこそ、表せたものだろう。
■『コールド マウンテン』公式サイト>>> http://www.coldmountain.jp/


■過去の作品でジュード・ロウの魅力をチェック!
『リプリー』('99)
 かつてアラン・ドロンが出演した『太陽がいっぱい』の原作を『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラが映画化。
貧しい青年トム(マット・デイモン)は、大富豪の息子であるディッキー(ジュード・ロウ)を連れ戻すよう依頼を受け、イタリアへ渡る。そこでディッキーと親しくなったトムは上流世界に憧れ、彼に成り代われたらと思い始める……。
 大富豪の息子ディッキーを演じたジュードは、本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、英国アカデミー賞では見事同部門を受賞した。
発売・販売元:松竹
DVD価格:2,500円(税込)

『イグジステンズ』('99)
 脊髄に穴をあけ、ケーブルを通じて仮想世界を体感するゲーム"イグジステンズ”。その開発者ゲラー(ジェニファー・ジェイソン・リー)が何者かに襲われた。その場に居合わせた男ピケルに助けられたゲラーは、彼とともに事件の背景を暴こうとするのだが……。
 何が虚構で何が現実なのか? 鬼才と異名をとるデビッド・クローネンバーグならでは映像とストーリーで、我々をその独特な世界へと引きずりこんでいく異色のSF映画。ジュード・ロウは、イグジステンズ初心者のピケルを演じている。
発売・販売元:ポニーキャニオン
DVD価格:3,990円(税込)

『スターリングラード』(00)
 1942年、第2次世界大戦下。ソ連軍はスターリングラードでドイツ軍と熾烈な戦いを繰り広げていた。ソ連兵のヴァシリ(ジュード・ロウ)は、政治将校ダニロフ(ジョセル・ファインズ)に狙撃の腕を見込まれたことから、次第に国民の英雄へと祭り上げられていく。一方ドイツ軍も、彼を暗殺すべく凄腕のスナイパーを送りこんでいた。
 『薔薇の名前』のジャン=ジャック・アノー監督が、実在した伝説のスナイパー、ヴァシリをモデルに、スナイパー同士の行き詰まる戦いや、極限状況下での愛を美しい映像とともに描く。
発売元:日本ヘラルド映画 販売元:ポニーキャニオン
DVD価格:3,990円 (税込)


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