FILE27:イタリアを舞台にした名作『ノスタルジア』
 1月25日よりシアター・イメージフォーラムにてロードショー/大阪シネ・ヌーヴォにて来春ロードショー予定

天才監督タルコフスキーの才能と、イタリアの陽光との一期一会が奇跡を呼んだ映画。
20年の歳月を経て、この奇跡を体感できる歓びが再臨する。
 スティーヴン・ソダバーグ監督のリメイク『ソラリス』で、にわかに再脚光を浴びる、タルコフスキーの名作『ノスタルジア』が、再び上映される。
 『アンドレイ・ルブリョフ』『惑星ソラリス』で「ソ連映画界の異端の巨匠」の価値を確立したアンドレイ・タルコフスキーが、初めて国外で監督した映画だ。美しすぎるほどの映像世界は、全世界から絶賛を受け、1983年カンヌ国際映画祭では、特設された創造大賞に輝いた。

 中世からルネッサンス期のフレスコ絵画と、モダン・アートが一体化したような美術。詩の一節や過去の芸術作品を、「記憶」のように呼び起こしてゆくセリフ。その合間に、息継ぎのように表れる故郷ロシアの白黒映像。これらの要素がひとつの有機体となり、見るものの心を「魂のふるさと」へと誘っていく。


■ストーリー

 ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を追った、詩人アンドレイ・ゴルチャコフの軌跡である。
 アンドレイは、世界の終末が訪れたと信じている狂人ドメニコに、 “ロウソクの火を消さずに広場を渡るように”と願いを託された。

 ドメニコはローマのカンピドリオ広場のマルクス・アウレリウス皇帝の騎馬像の上で、世界平和を訴え、わが身に火を放つ。一方、アンドレイはドメニコとの約束を果たしにバーニョ・ヴィニョーニに引き返す。アンドレイはロウソクの炎を、吹きすさぶ風から必死に守りながら幾度となく、ぬかるむ広場の横断を二度、三度と試みる。そして、ついに渡り切ろうという時、凍てつく雨は雪に変わり、彼は崩れ落ちて行く…。


■DATA

983年/イタリア/126分/カラー/1:66
日本語字幕:橋本克己
配給・宣伝:ザジフィルムズ
(C)1983 RAI-Raduitelevisione Italiana/Distributo da ZAzie Films, Inc.

受賞歴:1983年 カンヌ国際映画祭創造大賞受賞 
            国際映画批評家賞受賞
            エキュメニック賞受賞


■キャスト&スタッフ

―キャスト―

オレグ・ヤンコフスキー(アンドレイ・ゴルチャコフ)
エルランド・ヨセフソン(ドメニコ、詩人)
ドミツィアーナ・ジョルダーノ(エウジェニア、通訳)
パトリツィア・テッレーノ(ゴルチャコフの妻)
ラウラ・デ・マルキ(女中)
デリア・ボカルド(ドメニコの妻)
ミレーナ・ヴコツティチ(清掃婦)
―スタッフ―

監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アンドレイ・タルコフスキー
  :トニーノ・グエッラ
撮影:ジュゼッペ・ランチ
美術:アンドレア・クリザンティ
製作:フランチェスコ・カザーティ
製作:ロレンツォ・オストゥーニ(RAI)


■アンドレイ・タルコフスキーについて

 1932年4月4日ロシア、ユリエヴェツ近郊ザブラジェ生まれ。父アルセニイは詩人。54年に全ソ国立映画学校の監督科、劇映画コースに入学。在学中にヘミングウェイの同名作品を基にした短篇『殺し屋』を共同演出。60年卒業制作として作った中篇『ローラーとバイオリン』はNY国際学生映画祭で1位を獲得。続いて、長編第一作『僕の村は戦場だった』('62)を発表し、ヴェネツィア映画祭の金獅子賞を受賞。

 続いて完成させた歴史大作『アンドレイ・ルブリョフ』が、国内で批判を受け、大幅な修正を余儀なくされるが、69年カンヌ映画祭に出品されるや国際批評家賞を受賞し、世界中にファンを得る。
 72年にはスタニスラフ・レムのSF小説を翻案した『惑星ソラリス』で、カンヌ映画祭の審査員特別賞を受賞。その後、『鏡』『ストーカー』といった実験的問題作を発表。舞台では75年にレニングラードで念願の『ハムレット』を演出し、芸術家としての地位を世界的に確立した。しかし母国ソ連では自由に作品を撮れない状況が続く。

 80年代初頭にイタリアに渡り『ノスタルジア』を監督。83年カンヌ映画祭で特設された創造大賞を受賞。 1985年ロンドンで事実上の「亡命宣言」を行い、以後生涯ロシアの地を踏むことはなかった。85年にスウェーデンで遺作『サクリファイス』の撮影に取り組み、クランクアップ直後に肺ガンの診断を受けて、翌86年12月29日にパリで亡くなった。


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