風の前奏曲 |
その気高き音色は人々の心をさわやかに吹き抜ける!
1人の老人がいま、息を引き取ろうとしていた。
第2次世界大戦下、国家政策としての近代化至上主義と、それに伴う伝統芸能の“禁止統制”という名の弾圧にも決して屈することのなかった“ラナート”奏者ソーン・シラパバンレーン師(アドゥン・ドゥンヤラット)である。
100以上の曲を作り、それらが現代でも名曲として伝えられ、国民的尊敬を集める師の脳裏に、若き日の想い出が去来する──。
ラナート・・・それは“心を癒す”という意味のタイの古典楽器。
アジアの映画作品が、世界の映画界の本格的な注目を集めだして30年・・・。
香港映画に始まり、インド、中国、ベトナム、台湾、そして2004年、韓流ブームが頂点に達する中で、すさまじい成長を遂げ、アジアで最も機知に富んだ独創的な業界のひとつとなったタイ映画界。アクション映画ファンを瞠目させた「マッハ!」のスマッシュ・ヒットで、ついにアメリカ進出に成功したタイ映画は、今や注目の的である。
だが2004年──最もタイの観客の心に深い感銘と余韻を残したのは、“ラナート”と呼ばれるタイ式木琴奏者の生涯を描いた1本の映画『風の前奏曲』だった。
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