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BY & FOR アクターズ!第15回SAG Awards

1月25日、全米俳優組合SAG (Screen Actors Guild) が主催したSAGアワード。会場となったLAダウンタウンのシュライン・オーディトリアムは、きらびやかなハリウッドセレブリティ達で賑わいました。昨年度、最も功績を残したと思われる俳優にSAG会員達が投票を行なった結果が発表される本授賞式は、いわば俳優による俳優のためのセレモニー。そんな「同業者」のお眼鏡にかなった受賞者とともに、当日の模様や裏話まで、盛りだくさんでレポートします。


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2時間に渡ってTBS/TNT局でライブ放映されたSAGアワードは、本年度で15回目。組合メンバーが一堂に会するお祭りとあって、終始なごやかな同窓会ムードで進められるのが本式典の特徴かもしれません。
11日に行なわれたゴールデン・グローブ賞とは異なり、映画の演技部門にはドラマ/コメディの枠はありませんが、目玉といえる映画主演男優&女優がともにガラリと入れ替わっている点が興味深いところ。

主要部門の結果は以下の通りです。

<映画部門>
アンサンブル・キャスト賞: 「スラムドッグ$ミリオネア (邦題)」
主演男優賞: ショーン・ペン/「ミルク」
主演女優賞: メリル・ストリープ/「ダウト あるカトリック学校で」
助演男優賞: ヒース・レジャー/「ダークナイト」
助演女優賞: ケイト・ウィンスレット/「愛を読むひと」
<TV部門>
アンサンブル・ドラマ部門: “Mad Men (AMC / 原題)”
アンサンブル・コメディ部門: “30 Rock (NBC)”
主演男優賞ドラマ部門: ヒュー・ローリー/「Dr. House (FOX)」
主演女優賞ドラマ部門: サリー・フィールド/「ブラザーズ&シスターズ (ABC)」
主演男優賞コメディ部門: アレック・ボールドウィン/”30 Rock”
主演女優賞コメディ部門: ティナ・フェイ/”30 Rock”
生涯功労賞: ジェームズ・アール・ジョーンズ

注目は、映画部門の主演女優賞に輝いたメリル・ストリープ。”Doubt (原題)”では恐ろしく厳しいシスターを演じていた彼女ですが、呼ばれた瞬間は椅子から飛び上がる程ビックリ。更にはダッシュで登壇するや開口一番「ドレスすら買わなかったのよ!」と黒のトップスとパンツ姿を客席に披露するなど、むしろヒットミュージカル映画「マンマ・ミーア!」のドナさながらといった素顔が印象的でした。

ステージからは、候補者を含むアクトレス全員の「ガールズ」達を賞賛。これには「チェンジリング」での候補、アンジェリーナ・ジョリーも満面の笑みを浮かべておりました。ストリープは過去11回のノミネートを経て、この度でちょっと意外な2つ目となるアクター像を持ち帰っています。同賞男優部門を獲得したショーン・ペンは過去に3度ノミネートされており、これがSAGアワード初受賞。実在したゲイ活動家のハーヴェイ・ミルクを熱演した「ミルク」での受賞に、俳優ならずとも心動かされるスピーチを披露しています。「俳優として、我々はゲイもストレートも演じない。人間を演じるのだ。」これには、会場から熱い拍手が巻き起こりました。

TV部門ではNBC局の”30 Rock”が主要3部門制覇と、圧倒的な強さを見せました。本作の主演/脚本/製作を兼任するスーパーウーマン、ティナ・フェイは壇上にてコメディエンヌらしいジョークを連発。娘のアリスちゃんを引き合いに、SAGの印税問題を散りばめたり、オバマ大統領ネタを混ぜ込んだりと、そうそうたる顔ぶれを前にあの頭の回転の速さはサスガのひと言です。また、同じく本作より主演男優賞を獲得したアレック・ボールドウィンは、会場をいじる余裕も。「今夜は誰と仲良くしようかなぁ。アンソニー・ホプキンスかダイアン・レインか…。だってアンソニーめちゃめちゃカッコいいから!」会場が爆笑に包まれた一瞬でした。

本年度の生涯功労賞に選ばれたのは、名優ジェームズ・アール・ジョーンズ。恐らく「スター・ウォーズ」シリーズのダース・ベイダーの声の主として広く知られているかと思いますが、彼の映画/TV/舞台/ナレーションと幅広いメディアでの活躍が讃えられての受賞となりました。スピーチの最後には、今は亡きポール・ニューマンにトロフィーを掲げる姿も。会場は皆スタンディング・オベーションを贈り、彼の甘美な声と言葉に酔いしれました。

また、この度のSAGアワードでは、超ラッキーな少年が話題になっています。スター達をひと目見ようと多くのファンが駆けつけたレッドカーペットにて、彼が差し出したメモ帳をアンジェリーナ・ジョリーが受け取り、一緒に来場していたブラッド・ピットにも声をかけての「ブランジェリーナ連名サイン」を実現。そのメモ帳、家宝に決定です。

また、同じレッドカーペット上でユニークなエピソードを披露したのは、映画部門アンサンブルにノミネートの「フロスト×ニクソン」でデヴィッド・フロストを演じたマイケル・シーン。

その朝、フロスト本人の生電話で起こされた彼は、寝ぼけて自分のキャラと喋っている錯覚に陥ってしまったとか。ご本人お墨付きのハマり役だったようです。


ちなみに、本作品で主演男優賞にノミネートされたフランク・ランジェラ演じるリチャード・ニクソンは、本来の元大統領のイメージを覆したともっぱらの評判。60-70年代当時、国民規模で憎まれたといわれる氏の知られざる横顔に、思わず涙する人々が続出中です。筆者もオススメのこの1本、3月の日本公開をお楽しみに。

アクターが認めたアクターが勢ぞろいするSAGアワードは、賞レースの中でも特に注目を集めるセレモニー。特に今年は、他の式典と違って華やかなドレスやジュエリーが多く、観客の目を楽しませてくれました。いよいよオスカーまであと1ヶ月を切ったところ、今後も各アワードを含めてご紹介していきます。

【SAG Awards ホームページ】



TEXT BY アベマリコ


2009年01月29日 11:08

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