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まるでオスカー状態?セレブ大集合のTony Awards

去る13日、NYCに位置するラジオシティ・ミュージックホールにて、今年で64回目を数える「トニー賞」が開催されました。アメリカ演劇界/ブロードウェイの最高栄誉とされる本アワードは、舞台俳優をメインに迎えながら内輪ムードで行なわれるのが通例。しかし本年度はアカデミー賞さながらのセレブリティ・アクター達が続々と来場、初のトニー像を持ち帰っています。


  1997年より”Tonys”のホームグラウンド
   となっているラジオシティ・ミュージックホール
  Photo by Ian Philip Miller on Flicker
「トニー賞」こと「アントワネット・ペリー賞」は、ブロードウェイ・リーグならびにアメリカン・シアター・ウィングが主催する演劇/ミュージカルの一大祭典。映画のアカデミー賞、音楽のグラミー賞、TVのエミー賞と並ぶ、米最大級のアート・セレモニーとして世界中に知られています。
開催前年の期間中にブロードウェイにて行なわれた演劇とミュージカルより、各部門の候補者/作品を選出。後にエンタメ各界の関係者やプレスの投票によって、トロフィーの行方が決まります。

今年のホストを務めたのは、人気ドラマシリーズ「ふたりは友達?ウィル&グレイス (NBC/邦題)」で、かなりオネエなジャック役を演じていたショーン・ヘイズ。今年に入って雑誌インタビューにて自らゲイであることをカミングアウトしておりますが、今さら驚く人が少なかったことが強く印象に残っております。そんな彼が10分以上に渡って繰り広げたオープニング・アクトでは、自身が出演&今年のミュージカル部門主演俳優賞の候補にもなっていた”Promises, Promises (原題)”を含む、数々の歴代ミュージカル・ナンバーを熱唱。本人の受賞は逃したものの、「ジャック」さながらのハイテンションなパフォーマンスや共演者のクリスティン・チェノウェスとの熱いリップ・ロック (=キス)で、満席となった会場を大いに沸かせています。

「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフやトム・クルーズの妻であるケイティ・ホームズをはじめとして、近年は映画スクリーンを彩るスター達がこぞってブロードウェイに参加するのが一種のトレンド。その結果として、客足が遠のきがちなシアター作品のチケット売り上げに貢献しているとされていますが、特に今年の受賞者にはハリウッドお馴染みの顔ぶれが並びました。
ともにオスカー受賞者であるデンゼル・ワシントンとキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、それぞれ”Fences”と”A Little Night Music”で演劇部門主演男優賞とミュージカル部門主演女優賞を獲得。また先週お伝えしたMTVムービー・アワードにて、サンドラ・ブロックとのキスが話題に上ったスカーレット・ヨハンソンは、”A View From the Bridge”で演劇部門助演女優賞に輝いています。

「ハリウッド出身」の三人がともに初ノミネート&初受賞となった2010年度トニー賞ですが、女性ふたりはちょっとした「ゴシップの的」に。また新たなトロフィーを増やしたジョーンズは、受賞スピーチ中に壇上より夫マイケル・ダグラスを指差して「あそこにいる映画スターと毎晩一緒に寝てるのよ!」と絶叫、後に起こった一連の大騒ぎを振り返って「下品な振る舞い」であったと謝罪しています。

そして幼少期からの夢だったというトニー賞に感激し過ぎたのか、ヨハンソンに至っては同伴の夫ライアン・レイノルズに一瞥すらくれないまま、スタスタとひとりステージへ。その途中で一瞬「ヤバッ!」の表情を見せるや、座席に引き返して頬にキスをもらうと、まるで取ってつけたかのようにレイノルズへ感謝のスピーチを述べるという「失態」を演じてしまいました。普段より滅多にツーショットを見せない彼らとあって、これには不仲説が再浮上の予感。けれども、昨今ますます磨きがかかっている彼女の美貌、男性ファン達にとっては大歓迎のハプニングだったのかもしれません。

そして以下は、主要部門の各受賞結果。演劇部門は作品賞を合わせて本年度最多となる6カテゴリーを制覇した”Red”、ミュージカル部門では同じく作品賞を獲得した”Memphis”が計4つの賞に輝いており、大歓声に包まれたキャスト達は歓喜に酔いしれました。

☆演劇部門:

・作品賞 “Red”
・リバイバル賞 “Fences”
・演出賞 マイケル・グランデイジ (“Red”)
・主演男優賞 デンゼル・ワシントン (“Fences”)
・主演女優賞 ヴィオラ・デイヴィス (“Fences”)
・助演男優賞 エディ・レッドメイン (“Red”)
・助演女優賞 スカーレット・ヨハンソン (“A View From the Bridge”)

☆ミュージカル部門:

・作品賞 “Memphis”
・リバイバル賞 “La Cage aux Folles”
・演出賞 テリー・ジョンソン (“La Cage aux Folles”)
・主演男優賞 ダグラス・ホッジ (“La Cage aux Folles”)
・主演女優賞 キャサリン・ゼタ=ジョーンズ (“A Little Night Music”)
・助演男優賞 リーヴァイ・クライス (“Million Dollar Quartet”)
・助演女優賞 ケイティ・フィネラン (“Promises, Promises”)

当日CBS局にて全国放送された第64回トニー賞は、稀に見るスター・パワーにもかかわらず、前年より6%のダウンとなる約700万人の視聴率で終了。しかし、NBAファイナルの第5試合 (ボストン・セルティックスvs. ロサンゼルス・レイカーズ)やHBO局の人気ドラマ”True Blood”の新シリーズなどの高視聴率番組に重なったことを考えると、まずまずの成績であったと言えるでしょう。
今後もハリウッドの面々がブロードウェイをも席巻し続けるのか、更なる注目が集まりそうです。



TEXT BY アベマリコ

2010年06月17日 11:49

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