『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』~“本物”のキャスティング~
プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、今回は1/21(土)公開の『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』から。
ロンドンはもちろん、チベット、香港、スイスと舞台を変えるワールドワイドな展開からもわかるとおり、本作では『007』シリーズのパロディに前作以上に接近。そんな中、監督がこだわったキャスティングとは?
■“本物”のキャスティング
本作のキャスティングは「本物らしさ」がキーワードだった。パーカー監督によれば、「もしダニエル・クレイグが俳優陣に加われば、“ボンド映画”の一本も作れそうな顔ぶれをね」。世界的ヒット作『X-ファイル』で、FBI特別捜査官スカリーを演じたジリアン・アンダーソンが、パメラ・ソーントン役を引き受けた。「ローワンの笑いのタイミングには独特なものがあるの。彼と共演して、その仕事ぶりを間近にする機会を見逃すなんてと、とてもできないわ」。
MI7の行動心理学者ケイト・サマーには、ロザムンド・パイクが配役された。魅力的なケイトと無様なイングリッシュの間に生じるロマンティックな関係を観客に信じてもらうことが大切だった。パイクは行動心理学の資料を読み、役を研究した。「彼女がジョニーに出会ったとき、そこに心奪われる研究対象を見つけた……彼の顔の妙な表情の動き、体の痙攣などを見て」。
イングリッシュが憧れる究極のヒーロー、MI7諜報員サイモン・アンブローズ(エージェント1号)には、ドミニク・ウェストがキャストされた。パーカー監督によれば、「古典的なスパイの典型像が必要だった。ジョニーが目指す憧れの対象、おべっかを使いまくる相手がね」。
キャスティングで最も微妙だったのは、タッカー諜報員役だった。イングリッシュの古風な、掟破りの諜報スタイルとは対照的に、MI7の新しい世界を代表するような若い役者が求められた。オーディションの結果、英国人俳優ダニエル・カルーヤに白羽の矢が立った。
■英国アカデミー賞の常連がスタッフに結集!
プロダクション・デザイナー、ジム・クレイは、これまでにアルフォンソ・キュアロン監督『トゥモロー・ワールド』の美術で英国アカデミー賞を得ている。「ジムは小規模なセットなんか作れないんだよ」とパーカー監督は笑う。「この映画について豊かで、詳細なヴィジョンを持っているから、初めからスケールの大きな視点で見てるんだ。 その世界で起こるすべてが真実らしく、実際に起こっているように感じて欲しいね」。世界的な衣装デザイナー、ベアトリクス・パストールは、『グッドウィル・ハンティング/旅立ち』といった著名な作品を手がけており、今回はセットのスケールに匹敵する衣装スタイルを生み出すという挑戦を引き受ける。
さらに、撮影監督ダニー・コーエンは多くの賞賛を受けた『英国王のスピーチ』でアカデミー賞にノミネートされ、今回はイングリッシュのスパイ活動が展開するリアルな世界を撮影する仕事を任された。「ベアトリクスには凄い能力がある。個々のキャラクターの個性を探し出して、衣装デザインにうっとりするような魅力を与える」とパーカー監督。「それにダニーは素晴らしくエネルギッシュだし、個性的なスタイルがある。撮影スタイルはいつも独創的だし、怖れを知らない」。撮影は13週間の予定で英国から始まり、香港とフランス・アルプスへと移動した。イーリング・スタジオの撮影ばかりではなく、西ロンドンのジレット・ビルディングにさらに大きないくつかのセットを建てた。
"本物"のスタッフ、キャストの力が結集した本作は、本国イギリスを筆頭にヨーロッパをはじめ世界各国にてオープニング成績1位を獲得。爆笑は国境を越えて世界中に拡大中!いよいよ日本にもバージョン・アップを遂げた“ジョニー・イングリッシュ”がやってくる!
何百人というニューヨーク一の富裕層の住人を満足させている超セレブな高層ビル。そんなセレブな住居を管理する仕事とはどんなものなのか?ベン・スティラーやプロデューサーや脚本家たちは、貴重な内部情報を超高級ホテルの住み込み管理人数人から得ることに成功した。
結局、賑わう広場コロンバス・サークルのセントラル・パーク・ウェストにある“トランプ・インターナショナル・ホテル&タワー”の広々とした最上階が、ショウの贅を極めたペントハウスのモデルとなった。ズィーはこう振り返る。「半分がフロアで、マンハッタンを一望できるすっきりした最高級マンションというのが、イメージだったの。ビルの四方の壁面は似せて作れるとしても、それ以外は全部、自分たちでデザインしなければいけなかったしね。とびきりすばらしい出来になったわ」いくつか最上階の施設に入っても構わないというドナルド・トランプ氏のお墨付きをもらった製作陣は、贅沢な本物の場所を撮影に組み入れることに成功した。
地位を否応なく示す美術品の数々を集めるというのも、洗練されたペントハウスのアパートを再現する際の一つのキー・ポイントだった。自ら美術品愛好家と公言するラトナーは、この映画の撮影にあたって、ある特定の画家やその作品を頭の中に思い描いていた。こざかしいペントハウスの持ち主を象徴するように、ズィーはマルチ・メディアのアートでアクセントをつけながら、古い時代の歴史的なスタイルをモダンに作り直したいわゆる“モダン・クラシック”なデザインで統一していった。ズィーはこう説明している。「最近のお金持ちは、“ウォール・パワー”を持とうとしてる気がするの。まるで高級車を見せびらかすように、壁にアートを飾って、これ見よがしに『俺は金持ちなんだし、頭もいいんだ。これは意識的にやってるんだからな』みたいなね……」