TEXT BY 尾崎佳加

 ハリウッドのテレビ事情2 - スター発掘系番組、リアリティ・ショー

 先月、2005年度ミス・アメリカコンテストで、アラバマ在住の医師志望の美女が王冠を手にした。これに合わせてというわけではないのだが、今ハリウッドではスター発掘系のオーディション番組が高視聴率を稼いでいる。
 8月好評のうちに1シーズンを終えたNBCの『ネクスト・アクション・スター』は、新しいタイプのリアリティ・ショーだ。この番組ではアクション俳優を志望する約8000人の中から男女1名ずつを選び、同局のテレビ映画『ベット・ユア・ライフ』の主役に抜擢するという。勢いのあるアクションシーンを求めるため、危険なシチュエーションでのスタントや特撮などもあり、予算も規模もテレビのオーディション番組としては大きい。それもそのはず、番組をプロデュースするのは『ダイハード』、『マトリックス』などの大作を世に送り出したアクション映画の巨匠、ジョエル・シルバーだという。
 UPNの看板番組『アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル』は、ファッションモデルを育成しようという勝ち抜きコンテスト番組。現役活躍中、今も世界で引っ張りだこのスーパーモデル、タイラ・バンクスの指導のもとに集められるモデルの卵たちは、全国の予選を勝ち抜いた選りすぐりの美女10人。これだけ華のある番組なら視聴率が保証されているようなものだが、この番組のもう一つの見所は、舞台裏で織り成される人間ドラマ。見た目の美しさとはうってかわって、女同士のトップをかけた凄まじい心理戦がアツくツメたく繰り広げられる。(むしろこっちの戦いのほうが番組の人気の理由だというウワサだが…。)
ここに名前が刻まれる未来のスターが番組から生まれるかもしれない。
 こういった番組のコンセプトはもちろん「スターを育成する」ことにあるが、ただ育てるだけでは従来のスター発掘番組となんら変わらない。そこで、製作者側は色々知恵を絞って企画を出してくる。R&B、ヒップホップ系のミュージシャンを育てるMTVのショー『メイキング・ザ・バンド』は、候補者全員をひとつ屋根の下に住まわせ、共同生活をさせる。彼らはみな同じ志を持つ同士、ひとつの目的を目指して助け合う場面もあればライバルとして勝ち残りを競うときもある。四六時中一緒に過ごすのだから争いごとや問題もひんぱんに起きる。それがまたリアリティ・ショーの醍醐味でもあるのだ。番組で新人たちをプロデュースするのはP・ディディ。自らもラッパーとしてのアーティスト活動に加え、新人プロデュースやレストラン経営などのビジネスを手広く手がける多才なディディの名があるだけで、番組の話題性も十分だ。
 いずれのショーでも最終選考まで残る候補者たちは才能、容姿どれをとってもすでに一流レベル。改めて、アメリカという国のエンターテイメントレベルの高さを実感する。彼らを審査する側のレベルもまた高い。タレントに対する選考員たちの評価は実に辛らつだ。

 この厳しさに打ち勝ち、スターダムを手にいれた者は全米の注目を集める事が出来る。エンターテイメント王国アメリカで名声を得るということは、世界の頂点に立つことを意味する。これらの番組の挑戦者たちはみな、世界に挑戦しているのだ。


■ハリウッドのテレビ事情(1) 「アメリカの番組はこうしてつくられる!」はコチラ

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