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必見!あくまで英国が舞台の警察ドラマ
いつもこのコラムを担当しているライターのシラヤナギさんは、現在子育ての真っ只中。かわいいけれど一番手がかかる最初の時期、新たなライターさんをお迎えしました。今後、シラヤナギさんと岬 遥奈さん、お2方に英国からの情報を届けていただくことになりました。今回は、岬 遥奈さん、初登場です。<eigafan編集部>eigafan読者の皆様、はじめまして。英国発の映画関連情報を書かせていただくことになりました、岬 遥奈です。楽しい情報をお届けできるよう努めますので、どうぞよろしくお願いいたします。 今回は、現在英国で放映中のドラマの中から、機会があれば是非ご覧頂きたい警察ものの作品2本を、映画とTVからご紹介します。
英国の片田舎で巻き起こる捕り物帳劇

「ホット・ファズ(原題)」

ゾンビーに紛れて逃げるショーンたち
(「ショーン・オブ・ザ・デッド」)
ところで、この制作コンビを組むエドガー・ライトと、サイモン・ペグは、数年前に「スペース」と言うTVコメディ・ドラマを作った。オタクの青年と同居人、けったいな友人等が繰り広げる妙なストーリーだった。元々自身が映画ファン・オタクであった彼らは、自分たちの生活をそのままドラマにしてしまったのである。これで認められた彼らは、次に、アメリカでもヒットした「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004)で映画界にデビューする。ホラー映画ファンならば、このタイトルにピーンとくるはず。「ドーン・オブ・ザ・デッド」(1978)、「デイ・オブ・ザ・デッド」(1985)等、ゾンビーウヨウヨのアメリカ恐怖映画のパロディ版で、ロンドンをゾンビーだらけにしてしまう映画なのだ。ただ、他のゾンビーものと異なるのは、「誰もが好きな、ロマンティック、ゾンビー、コメディの要素を全て抱き込んだ作品(通称「ロム・ゾム・コム」)にしたかった」と彼らが言うように、ロマンスも何でもありでとても面白い。英国人ならではのブラックユーモアとうまい間の取り方、ウィットに飛んでいる作品で、エンディングのオチは特に光っていて心温まる。
カルチャー・ギャップが最大の見所

「ライフ・オン・マーズ(原題)」
しかし、少々不安なのは、このドラマもリメイクしてアメリカで放映するという話を聞いたこと。特に70年代の暗い英国が舞台だから、ストーリーも登場人物も活きているのだ。これが、アメリカに渡ってしまったら、「スタスキー&ハッチ」になってしまうのは目に見えている。英国で受けたからとアメリカ版にリメイクされ海を渡ったものには過去にも、「カップリング」や「オフィス」(これは、米版も受けたらしいけれど、英国オリジナル版と比べると…)などがあるけれど、たいていはイマイチ。「アメリカ人よ、どうか他国の文化を乗っ取らず、そのままの形で受け入れるようになっておくれ」と願わざるにはいられない。
ところで余談だが、上記で紹介した2人の役者、サイモン・ペグとジョン・シィムは、共にロンドンのN8(第8北部地域という意味の、日本では郵便番号にあたる地域コード)に居住している。ここには、彼らのほかにもマーティン・フリーマンやその他多くの役者が住んでいるのだが、実は何を隠そうこの筆者の居住地でもあり、ショッピング中の役者たちを見かけることがよくある。前述の映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」は、長年N8地区に住むサイモン・ペグが、「是非、我が町を映画に」と、舞台もロケーションもN8にしてしまったこだわりの作品であった。筆者は、地元近くの映画館でこの映画を鑑賞したのだが、我が家からすぐの通りやタウン・ホールにゾンビーが現れたり、よく利用するミニ・スーパーが血塗られたりと、我が町が銀幕に映し出される度に、同じくN8の住民と思われるグループから歓声が起こり、妙に熱い地元意識が芽生えて楽しかった作品である。
TEXT BY 岬 遥奈(みさき・はるな)
★プロフィール★
ロンドン在住歴、早10年以上のフリーランス・ライター。また、ガーデン・デザイナーの顔も持つ。ホラー、コメディ、シリアスもの、和・洋・中、何でもゴザレの映画好き。
2007年03月13日 18:51
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