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大和撫子 in Hollywood!女優: 安藤美保さん


 インタビューに答えて下さった安藤美保さん
  三島由紀夫著「近代能楽集」では
   「班女-Hanjo-」花子役を熱演
今までも、ハリウッドで活躍する日本人を多く紹介してきましたが、舞台関係では、端役ではなく主役としてスポットが当たるケースはまだまだ珍しいのが現実。ここハリウッドにてアメリカ初公演が幕を上げたばかりの本格アクション時代劇「UTSUTSU –[現]– Genesis: Blind Swordsman」は、日本人が中心となった舞台として、画期的な作品です。第1週のウィークエンド3公演は全編英語バージョンにて上演され、当地では前例の無い迫力満点のライヴ殺陣シーンはもとより、ハリウッド作品とは一線を画すストーリー展開が早くも話題を呼んでいます。そこで今週は、劇中にてメインキャラクターのひとり「あけの」役を務めていらっしゃる安藤美保さんに突撃インタビュー。30余名に上るキャスト陣の中でもひときわの輝きと目力を放っている彼女に、これまでのエピソードや今後についてお話を伺いました。


Q. まずは女優を目指されたきっかけ、そして渡米までのいきさつについて聞かせて下さい。

『幼稚園の時に人前でやった「ねずみのオペレッタ」というお芝居が私の人生の初パフォーマンスだったんですが、その時の喜びと感動が忘れられなかったんでしょうね(笑)。それ以来、幼稚園・小学校とお芝居が好きで、普段は小説を書いたり絵を描いたりばかりしている大人しいタイプだったんですけど、学芸会などでは「目立つ役をやりたい!」みたいな子でした。もちろん、中学校でも演劇部に入ろうと思ってはいたんですけど、そこから何をどうしてか、坂道を転がるようにグレていってしまい…(爆笑)。その後は、少しでも早く社会に出たかったので、ヘアメイクが好きだったというのと親の勧めもありまして、中学校を卒業してからは美容院で働き始めました。自分のイメージしたデザインが形になるという面白さで、色々なアルバイトをする傍ら、ヘアサロンでのお仕事は6年くらい続けましたね。渡米の経緯としては、ものすごい映画好きの父親の影響で洋画ばかり観て育ったので、漠然としながらもいずれ自分はアメリカに住むものだと思っていました。もちろんサロンでのお仕事は楽しかったんですけど、心のどこかでアクティングがしたい!という自分の声が消えなくて…。じゃあやろう!と思い立って、アクティング→洋画→ハリウッド!!という図式が私の頭の中で決定してからは、昼夜アルバイトをしながら渡米資金を貯めました。こうして振り返ってみると、かなりの単純思考ですよね(笑)。』

Q. その持ち前の行動力からでしょうか、渡米後はわずか数年の間に着々とクレジットを増やしていらっしゃるようですが?

『2006年12月に初めてアメリカに来て、当初は英語がほとんど喋れない状態だったので、語学学校と並行しつつ、ハリウッドにあるアクティング・スクールに通っていました。でも、そのスクールが半年ぐらいで潰れちゃって…(笑)。それからはEast West Playersというアジアン・アメリカン中心のシアターカンパニーで、1年余りお勉強させて頂きました。その他には、アクティングの先生による個人クラスを受けたりもしています。渡米後に初めて受けたオーディションは、LAで撮影されたサントリーの缶コーヒー”BOSS”のCMのエキストラだったんですが、受かった時はエキストラといえど、もう天にも昇る気持ちでしたね(笑)。それからはご縁がありまして、ハリウッドのサンセット大通り沿いにあるKey Clubというナイトクラブで、マイムのパフォーマンスをさせて頂く機会がありました。ダンサーさん達による大きな恒例イベントでしたので、すごい人だかりの前に立たせて頂いたことで度胸がつきました!ノミの心臓に少し毛が生えた、みたいな…。それからは、インディペンデント映画やウェビソード (インターネットで公開されるシリーズ)、East West Playersによる舞台、三島由紀夫さんの「近代能楽集」からのショート・ストーリーを英語で演じる舞台などに出演させて頂いています。こうした活動の中で地元紙LA Weeklyにも載せて頂くことが出来て、本当に嬉しかったですね。』

Q. 実際にアメリカのエンターテインメント業界に飛び込まれるに当たって、新鮮に映ったことや予想外であった点は? また、一口に俳優といっても活動されるフィールドはかなり幅広いかと思いますが、特に興味があったり力を入れていらっしゃるジャンルはありますか?

『今でも戸惑うことは多々ありますし、日々学習ですね。新鮮だったことは、多様性でしょうか。みんな自分がどうしたいのかをハッキリ言うし、こんなに好き勝手にしちゃっていいの!?っていうくらい、自由な姿が最初は衝撃でしたね。好き嫌いにも、まったく統一性が無い。まさに「十人十色」だと思いました。特に興味を持っているのは、やはり映画と舞台でしょうか。ドラマがやりたいです、ものすごく重い役とかで(笑)。私自身、実話を基にしたヒューマン・ドラマにすごく惹かれるので、そういった作品に出演できたらと思っています。映画は瞬間のエモーションがずっと映像として残りますし、舞台は観客の方々とその瞬間を共有するというまったく違った魅力があるので、どちらも力を入れてやっていきたいなぁと考えています。』

Q. 今週末に千秋楽を迎える「UTSUTSU –[現]– Genesis: Blind Swordsman」に出演されていますが、これまでの手ごたえはいかがですか?

『今ちょうど英語版を終えたばかりなんですが、観客の皆さんの反応がすごく良くて、逆にこちらが驚かされています(笑)。暗転のたびに拍手をくださったり、観終わった後に「思わず泣いてしまった」とか、わざわざ温かいコメントをしに来てくださったりで…。本当に嬉しいです!今週は日本語、つまり自分達の母国語での公演になりますし、また英語とは一味も二味も違った作品になると思いますので、心を尽くして演じたいですね。』

Q. それでは最後に、これからのスケジュールについて聞かせて下さい。

『インディペンデントのショートフィルム”Layla”の撮影と、中国出身の女優バイ・リンさん主演の”The Tunnel”というウェビソードに出演予定です。ちょっと悲しくも不思議なラブストーリー”Layla”では、タイトル・キャラクターでプロのソングライターを目指すLaylaを演じさせて頂くことになっています。もうひとつの”The Tunnel”では、少しキャスティングが変わっていて、ライターさんがキャストのイメージに合わせて各エピソードを書き下ろしていくというユニークな形をとっているので、まだ台本待ちの状態です。今のところはインターポールの役だと聞かされていますが、かなり楽しみです。まだまだ未熟者ですが、一歩一歩頑張りますので、よろしくお願いします!!』


 「UTSUTSU –[現]– Genesis: Blind Swordsman」
 劇中、あけの役を演じる安藤さん
  Photo by Mao Asou
日本を飛び出してから丸4年、現在ではハリウッド狭しと活躍の場所を広げていらっしゃる安藤美保さん。「UTSUTSU –[現]– Genesis: Blind Swordsman」の英語公演を拝見しながら、可憐な役どころではありつつも、ひしひしと湧き上がって来るような情熱に釘付けとなりました。岡山は倉敷出身のクール・ビューティ、Miho Andoの更なる飛躍が楽しみです。彼女のフィルモグラフィーの一部は、以下のリンクより。LA近郊にお住まいの方々は、是非とも今週末に控えた同作の日本語公演にお立ち寄り下さい。 安藤美保さん / IMDbプロフィール



TEXT BY アベマリコ

2010年11月25日 11:14

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