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映画配信の先進国: アメリカ人はレンタルがお好き?

インターネットの普及によって、今やすっかり我々の生活に溶け込んでいるオンライン・ショッピング。ここアメリカでも「買えない物は無い!」と言っても過言ではない普及率ですが、どうやら「デジタル版映画」のオンライン購入となると、その売り上げは滞りを見せている模様です。


 ゲーム機としてだけではなく映画などのコンテンツ視聴も可能なPS3。
  Photo by dredemento on Flickr
遡ること10余年、以来オンラインでの映画鑑賞といえばダウンロードやストリーミングが主流とされてきましたが、ここ数年はApple TVやPlayStation 3、またはウェブ機能を搭載したTV端末の普及が進み、そのままオンライン上でのコンテンツ視聴が可能となりました。こうして多くの消費者がインターネットを通じて映画鑑賞を楽しむようになった昨今ですが、映画そのものの購入となると話は別のよう。現在のアメリカ国内では、セルDVDや、それとほぼ同額であるオンライン購入よりも、レンタルの方が格段に優勢であるとの統計が発表されています。

ハリウッドを中心としたアメリカ映画界におけるセルDVD売り上げのピークは2006年の200億ドルで、当時その額は全体興行収入の2倍を超えていたとか。実際の販売用DVDの制作コストは約1ドルとされていますので、15ドル前後の販売価格を考慮しても、レンタルでの利潤をはるかにしのぐことになります。しかし近年の不況によって、消費者の家庭用映画の視聴はDVDの購入からレンタルへと移行。更にその動きは、郵送あるいはストリーミングによる映画配信を行なっているNetflixや自販機型のDVDレンタルRedboxなどといった安価で便利なレンタル・システムの台頭によって、さらなる拍車がかかりました。実際にNetflix社の本年度レンタル売り上げ予想は、米国内だけでDVD1枚3ドルから5ドルの料金でおよそ3770万枚に上るとか。この数字は3年前と比べて7倍近くの急成長を遂げていることになりますが、一方の平均価格10ドルから15ドルとされるセルDVDの売り上げとなると、年末までに2000万枚前後の売り上げに留まるとの予想が出されています。

今日ではこれまでの一般的なDVDよりも更に高額なBluRayディスクの売り上げが伸びているようですが、「DVD販売<レンタル」の差を埋めるには不十分な利益のようです。また長い目で見てみると、音楽と同様に家庭用の映画鑑賞はますますオンラインが中心となる見込みであり、映画スタジオとしては何としてでも「ウェブ購入」を促進する必要性があります。各スタジオ側は、この先数年のうちに一般消費者による家庭視聴用映画の購入媒体をDVDからウェブへと移行していく構えを見せていますが、彼らが理想とするシフトは、消費者は未だ躊躇しているようです。

「オンライン・デジタル・ロッカー」と称されるUVこと「UltraViolet」 (対応のDVD並びにBluRayを購入後、その購入記録をオンラインにて登録すると、映画をウェブ上に保管しながら自身のパソコンはもちろん、家族を含む携帯電話やウェブ機能搭載TVなどからのアクセス・視聴が可能となるシステム)の本格的な始動や、セルDVD発売日を前にした30ドル前後のVOD (Video on Demand) 形式でのプレミアム・レンタル構想など、2011年はデジタル版映画の分岐点となりそうな予感。ますます映画が身近になりそうなこの動き、今後ともデジタル版映画の動向を見守っていきたいと思います。



TEXT BY アベマリコ

2010年11月18日 10:26

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