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かつての人気リアリティTVシリーズが惨敗!世代交代の兆し?

今週19日スタート、第14シーズンに突入した社交ダンスバトル・シリーズ「Dancing with the Stars」。ここに来て、自己ワーストとなるプレミア視聴率を更新してしまい、ライバル局のオーディション番組に水をあけられる恰好となっています。


  ブレイク・シェルトン、シーロー・グリーン、
  クリスティーナ・アギレラ、アダム・レヴィーンと、
  コーチ陣も豪華な「The Voice」第2シーズン
  のポスター。

ABC局の看板リアリティ番組のひとつ、各界著名人が社交ダンスの技量を競い合う長寿シリーズ”Dancing with the Stars (原題/以下DWTS)”は、かつてFOX局の元祖国民的リアリティ番組”American Idol”と視聴率トップ争いを繰り広げた程の大ヒット番組。しかし、第14シーズンを数えた今期、これまでのプレミア放送(=初回放送)におけるワーストナンバーを記録、昨年春の同数字と比べて約34%ダウンのおよそ1850万人の視聴者がチャンネルを合わせるにとどまりました。

その一方、この夜の視聴率王者となったNBC局は、同じ時間帯に新たなシンガー発掘オーディション番組”The Voice”を投入。ちなみに、現在セカンド・シーズンを迎えている当番組は、今期のプレミア放送にて驚異の3760万人以上という視聴数を達成しており、第1シーズンのそれより2500万人以上もアップさせています。

旧シリーズと同様に、エンタメ界にスポーツ界、そして奥様方の支持率がグッとあがる「イケメン・マッチョ枠」=ソープオペラ&テレノベラ俳優を盛り込んだ第14シーズンのDWTSキャスト。何ともはや、これまでにも出演者のグレードダウンが囁かれてはいましたが、今期はそれ以上の地味さが否めません。昨年度に白羽の矢が立ったとされる元大統領ビル・クリントンが出演していれば、もう少し華を添えられたのかも?しかし、昨シーズンの覇者J.R. マルティネスのように、ほぼ無名のソープオペラ俳優/退役軍人がスターダムを掴み、多くの視聴者ならびにファンを獲得するケースもDWTSにおける定番セオリー。今後10週に渡り、どの出演者がミラーボール型トロフィーを、またそれよりも更にオイシイ「各媒体への露出キップ」を手にすることになるのでしょうか?

ギャヴィン・デグロウ(シンガーソングライター)
ドナルド・ドライヴァー(NFLグリーン・ベイ・パッカーズ選手)
ロション・フィーガン(ディズニーチャンネル俳優)
メリッサ・ギルバート(女優)
キャサリン・ジェンキンス(メゾソプラノ歌手)
グラディス・ナイト(ソウル・シンガー)
ウィリアム・レヴィ(テレノベラ俳優)
マリア・メノウノス(TVパーソナリティ)
マルチナ・ナブラチロワ(元テニス選手)
シェリー・シェパード(女優/TVパーソナリティ)
ジャック・ワグナー(ソープオペラ俳優)
ジャリール・ホワイト(俳優)

飛ぶ鳥を落とす勢いの”The Voice”、そして先週レポートしたデザイナー発掘ショー”Fashion Star”など、新しく投入したリアリティ・シリーズが絶好調なNBC局。特に”Fashion Star”は第2週目にして約13%も視聴率を上げ、更には番組直後にオンラインおよび店舗にて販売される勝ち抜きデザインも、参加スポンサーであるサックス・フィフス・アベニュー、メイシーズ、エイチ・アンド・エムの各ストアにてすでに完売。下は19.95ドル、上は350ドルのプライスタグが付いた先週のラインナップのうち、中には販売開始12時間以内に売り切れた商品もあったそうで、期待以上の好セールスを誇っていると報じられています。

しかし、今日のリアリティ・シリーズ全体像を見てみると、上記のような新シリーズの大躍進は例外中の例外。CBS局のサバイバル・ゲーム・ショーの草分け的存在である”Survivor”フランチャイズや、同局にて11年目を迎えた一般勝ち抜きレース・シリーズ”The Amazing Race”といった長寿番組が横這いの数字をたどる傍ら、ABC局の花嫁探しシリーズ”The Bachelor”の今期フィナーレでは史上最低視聴率を更新、AIこと”American Idol”は過去数年比25%以上の視聴率ダウンとかつての勢いを失い、さらにポスト・AIとして昨シーズンにスタートを切った”X Factor”においては、本家の約半分の視聴数でファースト・シーズンを終了するなど、芳しくない結果の連続となっています。

TV局サイドとしては、コストがかかる上に当たり外れの大きい新ドラマ・シリーズを発表するよりも、割安な製作費にして好視聴率といった費用対効果の高いリアリティ番組でひと山当てたいところ。老舗シリーズの巻き返しを視野に入れることはもちろん、数字的にひさびさの大ヒットを記録した”The Voice”、そしてTV画面を飛び出してのスポンサーとのコラボレーションが功を奏した”Fashion Star”を超えるような、斬新なアイディアが求められていくことでしょう。


TEXT BY アベマリコ

2012年03月22日 12:02

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