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ジョー・ライト/Joe Wright

ブッカー賞作家イアン・マキューアンのベストセラーを完全映画化した『つぐない』が大ヒット上映中です。【ちょっと気になるこのスター】では3週にわたり、『つぐない』を作り上げたキャスト、スタッフをご紹介してきました。
最後にご紹介するのは、その構成の緻密さ、文学性の高さゆえ映像化は困難、といわれたそのベストセラー大河小説「贖罪」を見事フィルムに焼き付けた、ジョー・ライト監督。
前作『プライドと偏見』で、その類まれなる才能を証明した監督が、『つぐない』でおこなったキャスティングから、映画製作に対する姿勢などをクローズアップします。


ジョー・ライト監督は1972年、英・ロンドン生まれで、両親はイスリントンにある人形劇場「リトル・エンジェル・シアター」の創設者。セント・マーティンズ・アート・スクールで美術・映画・ビデオ制作を学び、TVの演出家としてキャリアをスタートさせ、ミニシリーズ「Nature Boy」(00)で英国アカデミーTV賞にノミネートされます。その他、数々の賞を獲得したTV映画「Bob & Rose」(01)、ティモシー・スパル主演のミニシリーズ「Bodily Harm」(02)を手掛けた後、ミニシリーズ「Charles II: The Power & The Passion」(03)で英国アカデミー賞を受賞しました。

劇映画デビュー作『プライドと偏見』(05)は、批評家から高い評価を受け、英国アカデミー賞のカール・フォアマン・新人監督賞、ロンドン映画批評家協会賞の年間監督賞を受賞した他、監督賞のノミネーションは逸しましたたが、キーラ・ナイトレイに初の主演女優賞ノミネーションをもたらすなど4部門の候補になり、類まれな才能を持つ新人監督として、世界的注目を浴びました。
プライベートではこの作品でジェーン・ベネット役を演じたロザムンド・パイクと婚約しています。

本作『つぐない』では、本年度アカデミー賞主要7部門ノミネートや、ゴールデン・グローブ賞作品賞・作曲賞を受賞。UKリチャード・アッテンボロー映画賞では作品賞のほかに監督賞も受賞しています。
また、2007年ヴェネチア国際映画祭のオープニング作品として上映、これは、オープニング作品の監督としては、最も若い年齢でした。

最近では、キーラ・ナイトレイをシャネルのココマドモアゼルの新しい顔として起用したコマーシャルを演出。現在、ロバート・ダウニーJr.主演の『The Soloist』を準備中です。


キャスティングについて

監督はキャスティングの際、演じる俳優は役柄と同年代であることにこだわり、セシーリア・タリスの役にキーラ・ナイトレイを選びました。
「キーラの演技で本当に驚くのは、実際にはかなり冷酷で、理解しがたく、ぶざまな人物を演じることになっても、彼女が恐れないことだ。たとえ他の役者が観客に嫌われると思って、ひどく怖がるような役だとしても」
そして聡明な若者である主演のロビー・ターナーには、この主人公の希望と栄光の時代から第二次大戦という悪夢の旅路へ、観客を連れて行けるだけの演技力を持ちあわせた、新鋭ジェームズ・マカヴォイを抜擢。
「彼やその他何人かの俳優と知り合うことになったが、彼は、ただただ、実に素晴らしいよ。彼のことを好きにならずにはいられないね。彼が微笑むと、周りも微笑む。彼が泣くと、周りも泣いてしまう。かなり不思議なことだね」とマカヴォイを絶賛しています。

並外れた新人監督

監督は映画制作のすべての局面で細心の注意を払い、どんな小さなこともなおざりにはしません。そんな監督の姿勢を、キャストをはじめ、多くのスタッフが支持しています。
プロデューサーのティム・ビーヴァンはこう述べています。
「ジョーは並外れた新人監督だ。ハングリー精神に富み、いつももう一歩先へ飛び出そうとする。朝早くから起き出し、夜遅くまで働いて、もっといいものを求めようとする。彼のアプローチはひじょうに綿密だし、その過程を決して軽視しない」

さらにプロデューサーのポール・ウェブスターも「ジョーは非常に単純な方法で、信じられないほど複雑なものを生み出す、しかも、当たり前だが、普通の観客がよくわかるようなやり方でね。『つぐない』は高尚な小説であるが、どんな人間にも共通する想いを扱っているし、彼は偉大なロマンチストであると同時に、自分なりの哲学者だ。偉大な概念を映画的な形式に移しかえる翻訳家でもある。彼は私がこれまで出会った中でいちばんエキサイティングな芸術家だと思う」と付け加えました。

こうした、どんな小さなことにも気を配り、探究心を失わない監督の作品作りへの情熱が、
時代・世代を超えて人々の心を打つ、切なくも美しい名作を誕生させたのです。


【つぐない公式サイト】
新宿テアトルタイムズスクエアほか大ヒット上映中!
 ※本作は、PG-12指定です
(c)2007 Universal Studios. All Rights Reserved.

ジョー・ライトの過去の作品をチェック!

プライドと偏見

2005年度アカデミー賞主演女優賞ほか4部門にノミネート!すべての女性に捧げるラブ・ストーリーの原点。
女性に相続権がない時代のため、資産家と結婚することが花道とされていた18世紀のイギリスの田舎町に、金持ちの独身男性ヒングリー(サイモン・ウッズ)が越してきた。そんな中ひらかれた舞踏会で、ベネット家の次女エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、ヒングリーの友人ダーシー(マシュー・マクファディン)に出会う。最初は彼のプライドの高さに反感を持つエリザベスだったが、次第に彼の存在が気になっていく…。
発売・販売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
DVD価格: 1,509円 (税込) 発売中

2008年04月21日 12:17

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