TEXT BY 尾崎佳加

 【ハリウッドのテレビ事情 7】健康トピックスを扱う新リアリティーショーが人気?

整形トレンドにダイエットブーム。美容健康が一大関心事となって久しいアメリカでは、リアリティー番組も健康トピックスを扱うシリーズが増えている。
「30日間マクドナルドを食べ続けて生活するとどうなる?」―肥満のはびこるアメリカで主食とされるファストフードの品質管理に疑問を投げかけた映画『Super Size Me(スーパー サイズ ミー)』。ドキュメンタリー作品では異例の大ヒットを記録した。実験開始日からわずか10日、ドクターストップが入ったにも関わらず無謀な挑戦を続行した根性の人、モーガン・スパーロック監督だが、探究心のおさまらない彼はリアリティー番組で実験を続行することを決意したのだ。
『スーパー サイズ ミー』の書籍版ともいえる、肥満とファストフードの関係について書かれた本。
この夏より放送が始まったFX局の新番組「30 days(サーティー・デイズ)」では、スパーロック監督が疑問を抱く健康・社会の問題を30日の実験期間で徹底検証するというもの。さすがは自らの身体を痛めつけて実験した過去を持つ監督だけあり、毎回変わる挑戦者に無理難題を提示して悩ませる。
ある回では、30代の元スポーツ選手が体力と若さを取り戻すために不老治療を受けるという実験を試みた。30日間みっちり薬物づけのある意味ジャンキー生活を強いられ、食事も生活習慣も一切が監視される被験者。その上、体力を低下させないためにトレーニングカリキュラムも組まれたが、これがかえって老いてしまうんじゃないかというハードでムチャなスケジュール。またあるエピソードでは、家族も友人も全員敬虔なクリスチャンという男性が、ミシガンにあるムスリムコミュニティーで生活するというかなりヤバめの企画を遂行。挑戦者の男性は拘束の多い食事や礼拝の儀式、生活習慣に苦悩するだけでなく、911同時多発テロに対する怒りと悲しみに打ち勝つ試練を強いられた。
検証、実験を行うリアリティー番組では、ディスカバリー・チャンネルの「Strictly Sex with Dr. Drew(ドリュー博士のストリクトリー・セックス)」も高視聴率をあげている。この番組では医療エキスパートのドリュー・ピンスキー博士が恋愛やセックスに関する潜在的な恐怖や知られざる事実などを、実験を交えて詳しく調査してくれる。
性教育について書かれたドリュー博士の代表著書。左がドリュー博士。
このショーで採り上げるトピックはどれも、男女の性の違いや、マスターベーションの大事な役割など、知りたいけれど人に聞けないような性のお悩みばかり。整形ブームにのっとり誕生した性器の若返り手術まで特集する、まさに“性のトリビア”番組である。
これまでの連載で採り上げてきたローカーブダイエットメイクオーバー(整形)など、美容や健康を促進する動きはアメリカではもはや社会現象となっている。ただし、やりすぎると当然逆効果が生じるもので、最近アメリカ全土のレストランではローカーブへの反動からカロリー高めのメニューの売上げが急上昇しているらしい。健康に対する誤った知識を正す番組の効果に期待したい。
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