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オスカー前哨戦?AFI FEST 2006が開催中

11月1日より、このコラムでもすっかりお馴染みとなったハリウッドにある総合映画館「ArcLight」において、本年度で20回目を迎える”AFI Los Angeles International Film Festival” が開催中です。この映画祭は毎年、年末のオスカーシーズン到来と時期を同じくして行われる、ロサンゼルスの一大イベントとなっています。アメリカ作品のプレミアにとどまらず、海外からの上質な作品を数多く上映することでも有名。過去にさかのぼると、昨年のアカデミー賞で最優秀外国作品賞に選ばれた、イギリス・南アフリカ合作の”Tsotsi (2005)” (日本未公開)、ブラジルからのパワフルな衝撃作”City of God (2002)” (邦題:シティ・オブ・ゴッド)、スペインを舞台に綴られた感動作”The Sea Inside (2004)” (邦題:海を飛ぶ夢)、すでにイタリアの代表作のひとつとも言える”Life is Beautiful (1997)” (邦題:ライフ・イズ・ビューティフル)などが上映されています。数々の名作を上映し続けているこの映画祭、11月12日までの開催となっています。

AFIとは、American Film Instituteの略。米国でも有名なフィルムスクールです。監督・撮影監督・プロデューサー・脚本などの各学科は、映画学科で有名な他の大学にも引けをとらない程のクオリティで知られています。一番有名な卒業生は、日本でも大ヒットしたTVシリーズ「ツイン・ピークス」の奇才デビット・リンチ監督。また、若き映画制作者達の育成のみならず、古い映画の劣化してしまったフィルム・ストックの保存や、本イベントを含めた各映画祭の開催など、幅広い意味でアメリカの映像文化を保存・向上させていくことを目的としています。

本年度は、3500本以上ものエントリーから選び抜かれた147作品の上映を予定。オープニング・ナイトには、俳優・監督・脚本家・プロデューサーと多岐に渡って活躍するエミリオ・エステベス監督の最新作”Bobby”がプレミア上映されました。JFKの実弟、ロバート・F・ケネディの暗殺事件を描いたこの作品、驚かされるのがその豪華キャスト。監督ご本人はもちろん、大ベテランのアンソニー・ホプキンスやヘレン・ハント、ウィリアム・H・メイシーに始まり、ローレンス・フィッシュバーン、ヘザー・グラハム、アシュトン・クッチャー&デミ・ムーア夫妻、イライジャ・ウッド、そして日本の女性にも人気のあるリンジー・ローハンまで。こんな豪華競演だけでも、映画館に足を運ぶ価値がありそうです。

また、例年通り海外からの作品も目白押し。アメリカ国外の人々がどのように生活し、愛し合い、生き抜くのかをフィクション・ノンフィクションの両方で見られる絶好の機会となっています。また、アフリカ・南米・アジア・中東・ヨーロッパ。まさに世界中から集められた、選りすぐりの作品達も一挙に上映されます。気になる日本からの出品は、ご存知堤幸彦監督・渡辺謙主演の「明日の記憶」(洋題:”Memories of Tomorrow”)。若年性アルツハイマーを題材とした、日本の家族の物語がエントリーしました。アメリカでも知名度の高い渡辺謙の熱演と、樋口可南子演じる芯の強い日本の女性像、そして堤監督の独特な映像美に注目が集まりそうです。

普段はなかなかお目にかかれない、チュニジア・エジプト・デンマーク・ハンガリーからの出品も予定されているこの映画祭。12日間の間に、どれだけの観客が映画と世界中の文化に触れることになるのでしょうか。また、この中から本年度のアカデミー賞優秀外国作品賞にノミネートされる作品もあるはず。去年のように、最優秀外国作品賞をさらう1本もあるかもしれません。詳しい作品リストとラインナップは、本映画祭のホームページにてじっくりとご覧下さい。

AFI Fest 2006 作品・ラインナップ


TEXT BY アベマリコ

2006年11月09日 21:59

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