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“Trick or Treat!!” ハロウィンとハリウッドの美味しい関係

10月31日はハロウィン。アメリカでは、毎年このお祭りが盛大に行われます。街中がオレンジと黒で飾られるこのシーズン、各家庭の庭先には死神やガイコツ・クモの巣・死体(!)の原寸大フィギュアがデコレーションされ、店頭には大小様々のカボチャやお菓子の詰まったバッグが並び、スーパーマーケットでは小さな子供が母親にキャンディをねだる微笑ましい姿が見られます。昔は子供達の為のお祭りとして賑わっていたこのイベント、近年ではティーンや大人までもが楽しむようになってきている模様。そんな風潮のもと、このお祭りによってニンマリしている企業のひとつが、どうやらハリウッドのスタジオのようなのです。
ハロウィンは今後$5billion(1billion=10億)産業になると言われていています。数十年前と比べると、300%以上のアップ。国内の統計によると$4.96billionもの売り上げが見込まれており、平均してひとり$59.06(日本円で¥7000余り)消費する計算になるといいます。これはちょっと尋常ではない金額。かつてはキッズのお祭りだったのが、最近ではどんどん参加者の年齢層があがっており、ハロウィンを何らかの形で祝うと答えた18-24歳は85.3%、25-34歳は76.5%、35-44歳では71.3%にも上っています。

さて、一体どうしてハリウッドが「美味しい」思いをしているのかと言うと…。この大ブームに乗って、コスチューム会社とハリウッドの各スタジオがコラボレーションを開始したのです。ライセンス契約をもとに、映画やテレビのキャラクター・コスチュームを大々的に製作。少し前まではオバケが中心だったハロウィンも、スパイダーマンからカリブの海賊まで色んなキャラクターが闊歩するようになりました。それまでキャラクターグッズといえば、おもちゃやTシャツ程度しか作っていなかったスタジオにとっては、思わぬ収入源になっています。こうしたハロウィンコスチュームの総売上の12%がライセンス費として入ってくるとあって、各スタジオの商品化競争は年々加熱しています。今日では家族揃って映画のキャラクターになりきるファミリーや、はたまたペットをキャラクター化していく消費者により、こんな物も!と驚くような、細部にまでこだわったグッズの商品化が続々と進められています。

パーティー・グッズのお店を覗くと、その豊富なデザインと種類にただただ圧倒されてしまいます。今年一番の人気コスチュームは、年齢を問わず海賊ものだそう。これはもちろん映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の影響。昨年は$13billionがスタジオ・コラボのコスチュームに費やされたそうで、その年の人気映画による影響がどれだけ強いかが良く分かります。もちろん、昔からあるプリンセスやマーメイド、ガイコツなどのデザインが根強い人気。ティーンには、黒ずくめのゴシック調コスチュームが好評となっているようです。$30程度のものから始まり、上は$80もする精巧な作りのコスチュームの売れ行きも好調で、人々の熱の入れようがうかがえます。

今年は平日の火曜日がハロウィンでしたが、それでもイベントは大盛況。様々なキャラクターに扮した子供達が母親の手を握って歩いていたり、キャンパスでは奇抜な衣装に身を包んだ学生達が闊歩していたり。教授陣までもが、授業の最後にキャンディを配ったりするのも毎年見られる光景となっています。また、毎年50万人以上が集うウェスト・ハリウッドのカーニバルには、相変わらず多くのクレイジーな?人々が押し寄せ、大渋滞を巻き起こしていました。

日本でもコスプレ・ブームがありましたが、こちらのハロウィンはとにかく目立つことが大好きなアメリカ人にとっては一大イベント。様々なグッズの商品化によって消費者のチョイスも増え、今後もますます大きく派手なイベントになっていくでしょう。映画ファンとしては、スタジオの活性化につながるといいな…なんてひっそり思ってしまいますが、とにかく今後も年に一度のお祭りとして、「Halloween」がどんどん盛り上がっていくのが楽しみです。


TEXT BY アベマリコ

2006年11月02日 22:41

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