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これを観ずして年は越せない!『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』

2011年12月1日、いよいよその全貌が明らかとなった「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」。今月21日に予定されているアメリカ公開に先駆けて、ひと足お先に日本先行ロードショーを迎えています。かのスティーヴン・スピルバーグとピーター・ジャクソンがタッグを組んだ、壮大なアドベンチャー大作。スクリーニングの模様に併せて、本作の見どころをご紹介していきましょう。

ベルギーで誕生したコミック「タンタンの冒険旅行」シリーズの作者、今は亡きエルジェとスティーヴン・スピルバーグ監督による互いのラブコールで実現した「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」。構想20余年に渡る究極のアクション・アドベンチャーは、今日の映画界を構築した巨匠が手掛ける初の3D作品です。そこに共同製作者として、監督と同様に原作のファンとして知られるピーター・ジャクソンが参加。「ロード・オブ・ザ・リング」3部作によって、独自の世界観を世に知らしめた映画クリエイターと「フィルム・メイカーの生き字引」による夢のコラボレーションは、期待を上回る完成度となっています。

クリスマス・シーズンが待たれる全米公開を前に、筆者はパラマウント・スタジオにて行われた特別試写会に潜入。当日は主人公タンタンを好演したジェイミー・ベルも駆けつけ、上映後のQ&A/質疑応答を行なっています。気になる本作の見どころは、まずオープニング・クレジットから。スピルバーグ監督による「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」(2002)のそれを彷彿とさせる一連のアニメーションには、原作の持ち味がたっぷりと盛り込まれ、のっけから前のめりになること必至です。更には、まるで実写かと目を疑うほどのフリーマーケット風景、街中の奥行き、そして昼夜で180度表情を変える大海原から、灼熱感までもが表現された砂漠まで、スタッフこだわりの映像描写はとにかく圧巻のひとこと。息つく暇のない迫力のオンパレードに、誰もが童心に返らされちゃうこと請け合いです。

そして本作の必見ポイントは、最新テクノロジーを融合させたパフォーマンス・キャプチャ。俳優の全身に取り付けられたセンサーから細かな動きが記録され、後にコンピューター処理によってキャラクターに肉付けされていきます。「リトル・ダンサー」(2000)で披露した通り、幼少期からバレエを習っていたというジェイミー・ベルは、持ち前の高い身体能力を活かして可能な限りのアクション・シーンにも挑んだそう。また、劇中の相棒である愛犬スノーウィだけは完全3Dキャラクターであり、スタッフが持つぬいぐるみや赤いレーザーで立ち位置が示されながらの「共演」に、かなり興味深い体験が出来たと振り返っていました。その一方、ベルが一目置いていると語ったのが、パフォーマンス・キャプチャの先駆け俳優として知られるアンディ・サーキス。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのゴラム、同じくピーター・ジャクソン監督によるリメイク作品「キング・コング」(2005)でのキング・コング、本年度に公開された「猿の惑星: 創世記(ジェネシス)」のシーザー、そして本作におけるハドック船長と、この4役全てが同じ人物によって演じられているとは、ただただ頭が下がります。中でも今回のハドック役は最も饒舌で、酔っ払いのひょうひょうとした表情からコミカルな動きに至るまで、とにかく笑わせてくれる楽しい存在。タンタンとハドック船長およびベルとサーキスの掛け合いにも、どうぞご注目下さい。

ベル曰く、スティーヴン・スピルバーグ監督作品は「ジュラシック・パーク」(1993)で衝撃を受けて以来の大ファンだそう。オファーに耳を疑ったのも束の間、緊張のご対面を経て、監督から直々に受ける演出には万感の思いであったと目を細めていました。また、彼とサーキス、そしてサッカリンを演じたダニエル・クレイグは、ともにイギリスの出身であり、プロフェッショナルに仕事をこなしながらも、和気あいあいとしたスタジオ風景だったとのこと。アメリカのアドベンチャー映画の祖、南半球が生んだファンタジー作品の匠、そして英国が誇る俳優陣が一堂に会したフルデジタル3D大作。思わず舌を巻かされるヴィジュアルとストーリー、とくとご堪能ください。


TEXT BY アベマリコ

2011年12月08日 21:42

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