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予定調和?第69回ゴールデン・グローブ賞

1月15日、ビバリー・ヒルトンホテルにて開催されたThe 69th Golden Globe Awards。本年度の賞レースにおける年明け1発目の大型セレモニーには、ビッグ・スクリーン(=映画)とスモール・スクリーン(=テレビ)それぞれのフィールドにて活躍するセレブリティ達が勢揃いしました。25を数えるカテゴリーの受賞結果を中心に、3度目の正直?としてステージに舞い戻ったあのホストに対する批評などを交え、2012年度ゴールデン・グローブ賞の結果をお伝えしていきます。


  街中を飾った第69回ゴールデン・グローブ賞のバナー。
HFPAと称されるハリウッド外国人記者協会(Hollywood Foreign Press Association)主催のゴールデン・グローブ賞(以下GG賞)は、2011年度に公開された映画およびアメリカンTV界における優れた作品とパフォーマンスを讃える、毎年お馴染みのセレモニー。昨年に引き続き、NBCにて3時間に渡って放映され、視聴数1680万というまずまずの結果を残しています。


本年度の司会者は、2010・2011・2012年と3年連続ホストを務めることとなったリッキー・ジャーヴェイス。昨年度の「アルコールを煽っては出席者に毒突く」といったはしゃぎっぷりでHFPAから大目玉を喰らっておりましたが、フタを開けてみれば本年度もお呼びがかかり、ジョディー・フォスターやジョニー・デップ、ヘレン・ミレン、ジョージ・クルーニー、マドンナ、ナタリー・ポートマンといった列席者をやんわりといじっています。しかし、ノーネクタイにアルコール片手のリラックス・モードで挑んだセレモニーの評判は、残念ながら惨憺たるものに。HFPAやNBCに対する愚痴や、キム・カーダシアン(結婚72日後の離婚申請)やジャスティン・ビーバー(ファンによる狂言妊娠騒動)など、列席していないセレブリティを中心に毒を吐いた点を槍玉に挙げられ、「退屈だった」「パンチが効いてない」「私のジャスティンによくも!」などといった罵詈雑言を浴びせられている模様です。「やっと終わった!」と語るご本人はそんな中傷もどこ吹く風ですが、暴れてもおとなしくしても結局は批難されるポジションには、ただただ「お疲れ様です…」のひとこと。来年度のホストは、かなりのプレッシャーを強いられそうです。

閑話休題、2012年度GG賞の結果を振り返ってみると、映画とテレビ、どちらの部門でもオッズ低めな「当確メンバー」がトロフィーを獲得。映画部門では、白黒サイレント作品「アーティスト」がコメディ・ミュージカル作品賞、同男優賞(ジャン・デュジャルダン)と作曲賞(ルドヴィッグ・ブールス)の3部門を、ドラマ作品賞と同男優賞にはジョージ・クルーニー主演の「ファミリー・ツリー」が2部門を制覇しています。また、本年度はアニメーション映画の豊作年であったことから、精鋭揃いのアニメ長編作品賞にとりわけ注目が集まっていましたが、結果は巨匠スティーヴン・スピルバーグと奇才ピーター・ジャクソンのコラボレーションが話題を呼んだ「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」に軍配。圧倒的な映像美と、パフォーマンス・キャプチャの先駆け俳優アンディ・サーキス率いるアンサンブル・キャストによって、頭ひとつ抜き出た恰好となっています。またGG賞ではドラマとコメディ・ミュージカル、2つの作品賞が選出されますが、今年の監督賞はそのどちらの作品からも選ばれておらず、例年と比べてかなり混戦気味。この辺りも、今後の各アワードにおける要チェック・ポイントとなりそうです。

もう一方のテレビ部門では、昨年度のエミー賞を彷彿とさせるような結果に。「ダウントン・アビー ~貴族とメイドと相続人 (PBS)」のミニシリーズ・TV映画作品賞や、「ミルドレッド・ピアース 幸せの代償 (HBO)」にて同女優賞を獲得したケイト・ウィンスレット、助演男優賞のピーター・ディンクレイジ(“Game of Thrones (HBO)”)、そしてABC局の「モダン・ファミリー (ABC)」が作品賞でトロフィーを持ち帰り、「グリー 踊る♪合唱部!? (FOX)」の同カテゴリー連覇を阻止しています。こうした中から敢えて番狂わせを挙げるなら、過去に「フレンズ (NBC)」のジョーイ役で一世を風靡、同名タイトルのスピンオフも制作されたマット・ルブランによるコメディ・ミュージカル部門男優賞のゲットでしょうか。受賞は視聴者のみならず、ご本人もビックリだった様子。古巣NBCでのオンエアだったから?なんて、ついつい勘繰ってしまう人も少なくないようです。また全くの余談ですが、今回の受賞作品「マット・ルブランの元気か~い?ハリウッド!(SHOWTIME)」の原題は、一切異なる”Episodes”。「チャーリー・シーンのハーパー★ボーイズ (CBS / 原題”Two and a Half Men”)」での衝撃度を上回るネーミング・センスと言えそうです。

第69回ゴールデン・グローブ賞/25カテゴリー全受賞結果

<映画部門>
ドラマ作品賞: 「ファミリー・ツリー」
ドラマ女優賞: メリル・ストリープ 「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」
ドラマ男優賞: ジョージ・クルーニー 「ファミリー・ツリー」
ミュージカル・コメディ作品賞: 「アーティスト」
ミュージカル・コメディ女優賞: ミシェル・ウィリアムズ 「マリリン 7日間の恋」
ミュージカル・コメディ男優賞: ジャン・デュジャルダン 「アーティスト」
助演女優賞: オクタヴィア・スペンサー 「ヘルプ ~心がつなぐストーリー~」
助演男優賞: クリストファー・プラマー 「人生はビギナーズ」
アニメ作品賞: 「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
外国語作品賞: 「別離(イラン作品)」
監督賞: マーティン・スコセッシ 「ヒューゴの不思議な発明」
脚本賞: ウディ・アレン 「ミッドナイト・イン・パリ」
作曲賞: ルドヴィグ・ブールス 「アーティスト」
歌曲賞: “Masterpiece” 「W. E.」

セシル・B・デミル賞(功労賞): モーガン・フリーマン

<テレビ部門>
ドラマ作品賞: “Homeland (SHOWTIME / 原題)”
ドラマ女優賞: クレア・デインズ“Homeland (SHOWTIME)”
ドラマ男優賞: ケルシー・グラマー “Boss (STARZ)”
ミュージカル・コメディ作品賞: 「モダン・ファミリー (ABC)」
ミュージカル・コメディ女優賞: ローラ・ダーン “Enlightened (HBO)”
ミュージカル・コメディ男優賞: マット・ルブラン 「マット・ルブランの元気か~い?ハリウッド!(SHOWTIME)」
ミニシリーズ・TV映画作品賞: 「ダウントン・アビー ~貴族とメイドと相続人 (PBS)」
ミニシリーズ・TV映画女優賞: ケイト・ウィンスレット 「ミルドレッド・ピアース 幸せの代償 (HBO)」
ミニシリーズ・TV映画男優賞: イドリス・エルバ 「刑事ジョン・ルーサー (BBC)」
助演女優賞: ジェシカ・ラング 「アメリカン・ホラー・ストーリー (FX)」
助演男優賞: ピーター・ディンクレイジ “Game of Thrones (HBO)”

この度のGG賞を皮切りに、21日のPGA (Producers Guild of America: 米製作者組合) アワード、28日にはDGA (Directors Guild of America: 米監督組合) アワード、そして29日に開催予定のSAG (Screen Actors Guild: 米俳優組合) アワードと、同業者によるギルド系のセレモニーが目白押し。これらの受賞結果に左右され、2月21日に締め切られるオスカー最終投票の結果がどれくらい動くことになるのか、非常に楽しみです。


TEXT BY アベマリコ

2012年01月19日 19:12

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