2006年04月19日
チェコ発『プラハ!』
“魔法の都”と呼ばれる町並みを持つ、チェコ・プラハ。世界遺産にも登録されているこの町は、今や他の都市では見られなくなってしまった古き良きヨーロッパの重厚な魅力を静かに守り続けています。そんな町の名を冠した恋愛映画『プラハ!』をご紹介します。■ STORY

公式サイト>http://www.praha-movie.com/
■ 華やかなミュージカルシーンに注目!


夢と現実がオーヴァーラップするシーンの中で次々と展開されるダンスはとても楽しいもの。雨のシーンでパラソルを使ったミュージカルと言えば、『雨に唄えば』(‘52)を思い浮かべる人も多いはず。劇中にはこの『雨に唄えば』への監督のオマージュと思われるシーンも登場。パラソルに赤・黄・緑といった鮮やかな色使いを加えて、ダンスシーンに仕上げるあたりはミュージック・クリップ作品も数多く手掛けるレンチならでは。
“輝けるダンス”と“プラハの春”という明と暗を巧みに物語に織り込み、『プラハ!』は映画としてもヒットを収めましたが、サウンドトラックも大ヒットを記録。今日に至るまでチェコ史上最も売れたCDとなりました。チェコ国内の映画賞であるチェコ・ライオンアワードで衣装賞と作曲賞を受賞し、ピルゼン・フィルムフェスティバルでは最高観客賞を受賞。関連本やミュージカル版も人気を博しています。
■ 映画から観るチェコ
★プラハの春
1968年の春から夏にかけて、チェコスロヴァキアで起こった改革運動。社会主義体制下、ドプチェクによって推し進められた自由化政策により、チェコに明るい時代が訪れました。しかし、自由を求めるチェコスロヴァキアに危機感を抱いたソ連・東欧軍の介入によって、弾圧されてしまいます。その改革運動のことを、“プラハの春”と呼びます。

世界中でもっとも飲まれているタイプのビール、ピルスナービールはチェコの町ピルゼンが発祥地。ホップのきいた爽快な飲み口の淡色ビールで、飲むと香ばしさが広がります。ピルスナー系は現在、日本でも一番飲まれているタイプのビール。本作では物語の随所でビールを飲むシーンが登場していて、チェコ人の生活にはビールは欠かせないものだということが分かります。今でも1人当たりのビール消費量は世界一だそう。
■ DATA
4月29日(土)より、渋谷Q-AXシネマにてレイトロードショー
(以降、大阪、京都、神戸、名古屋他にて順次全国公開)
2001年/チェコ/110分
配給:アンプラグド
製作:フランチシェク・ヤンダ
監督:フィリプ・レンチ
脚本:ズデニェク・ゼレンカ
出演:スザナ・ノリソヴァー/ヤン・レーヴァイ/ヤロミール・ノセク/アルジュビェタ・スタンコヴァー/
アンナ・ヴェセラー/ルボシュ・コステルニー
2006年04月07日
ロシア発『大統領のカウントダウン』
名作『戦争と平和』に代表されるように、旧ソビエト連邦時代から文学的でお堅いイメージがあったロシア映画界ですが、どうやら流れは変わってきたようです。ハリウッド顔負けのアクション大作『大統領のカウントダウン』で"露流エンターテインメント"の新時代が到来!■ STORY

公式サイト>http://www.count-down.jp/index.html
■ ロシア軍が全面協力した史上初のロシアン・アクションムービー

ロシア映画の新時代到来は、国や資本家をも動かしました。30代の新世代映画人の製作意欲に応えようと、企業家、実業家、銀行家らの有志たちが資金を提供し、ロシア史上最高となる700万ドルの制作費を投入しました。また、戦闘機、ヘリコプター、輸送機、装甲車など軍事機材はロシア軍が全面協力して提供しています。戦闘シーンの圧倒的な迫力は、莫大な資本と本物の軍事機材なくしては再現できなかったのです。
『大統領のカウントダウン』のヒットで現在知名度が上がっているのが、スモーリン少佐を演じるアレクセイ・マカロフです。1972年2月5日生まれのアレクセイは、先に本作がヨーロッパで公開されたときに「ロシアのブルース・ウィリス」と呼ばれましたが、「自分のイメージがスーパーヒーローとして観客に定着されたくない」と語る本格派俳優。本国での目下の最新作『TREBUETSA NYANYA』は、モスクワに住む若い夫婦の話しだそうです。
■ 映画から観るロシア
ソビエト連邦の時代、映画は国の統制下で作られており、検閲も厳しく中には政治的な弾圧を受けた監督もいました。ソ連崩壊後は西欧のロック・ミュージックに続いてハリウッド映画が流入。国民はスケールの大きなアクションやバイオレンスが中心のハリウッド映画に目を奪われたといいます。そのハリウッド映画の影響下にあるのが現在の30代の若い映画人たち。彼らは「9・11」を筆頭とするテロが横行する現在の世相と、自分たちがハリウッド映画で見た夢を結びつけます。『大統領のカウントダウン』はロシア映画のニューウェイヴであり、ロシア国民にとっての"現実"なのです。
■ DATA
2004年/ロシア/111分
配給:シナジー/エイベックス・エンタテインメント
製作:セルゲイ・グリプコフ
監督・脚本:エヴゲニー・ラヴレンティエフ
撮影監督:スタニスラフ・ラドゥヴァンスキー
出演:アレクセイ・マカロフ/ルイーズ・ロンバード/ヴァチェスラフ・ラズベガーエフ/ジョン・エイモス