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フランス発『チャーリーとパパの飛行機』

カンヌ、ヴェネチアほか世界の映画祭で高い評価を受けているセドリック・カーン監督の最新作。大好きな父親を失って、その死を受け入れることができない少年が、遺された飛行機に願いをこめることで巻き起こす奇跡を描きます。

■STORY
チャーリー(ロメオ・ボツァリス)がパパ(ヴァンサン・ランドン)からもらったクリスマスプレゼントは、真っ白な飛行機。
本当は自転車が欲しかったチャーリーは、もらった飛行機にあまり興味が持てません。ところが数日後、パパは不慮の事故に遭って帰らぬ人となってしまいました。そこで、パパにもう一度会いたいチャーリーが、その飛行機に願いをかけると…

公式サイト

■ セドリック・カーン監督が伝えたかったこと

セドリック・カーン監督は、『倦怠』『ロベルト・スッコ』のように、現実的な問題を抱えて揺れ動く主人公の心情を描いて来ましたが、今回の作品ではテイストが全く違います。彼が初めて子供を主人公にした作品を手がけた理由は、「何よりも自分の子供に見てもらいたかったから」とか。

それだけに、完成して初めて子供たちに見せた時の心境を、「今までの中で一番緊張し、怖かったぐらいです。もし途中で退屈して席を立ってしまったらどうしようと…。しかし子供たちはとても気に入ってくれて、<続編を作って欲しい>と言ってくれたのです」と話しています。(監督には現在、3人の子供=長男11歳、長女8歳、次男1歳がいます)

監督の子供たちの興味を惹きつけたのは、何と言っても、主人公のチャーリーが、パパの遺してくれた飛行機と共に体験する大きな冒険でしょう。
それと同時に、愛する人を亡くした悲しみを少しずつ受け入れ、子供との絆を深めていくママ(イザベル・カレ)の気持ちの変化も丁寧に描かれていて、大人向けのファンタジーとも呼べる作品になっています。

■映画から観るフランス
●パパがいなくなるって、どういうこと?

本作では、チャーリーとママが、突然のパパの死を受け入れていくまでを描いています。ヨーロッパの方が日本に比べて、小さい子供も一緒に「死」に向き合う…という風潮が強いようです。
フランス映画『ポネット』でも、母親の死に直面した4歳の女の子の姿が描かれていますが、例えば『おじいちゃんがおばけになったわけ』(デンマーク)のように、絵本でもその題材が扱われることもあるようです。そのような背景だからこそ、死を扱いながらも重くなりすぎることもなく、絶妙なファンタジーの味を含んだ本作が誕生したのかもしれません。

■DATA
9月1日(土)、シネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショー

2005年/フランス/100分
配給:ワイズポリシー

(C)2005 FIDÉLITÉ FILMS – AKKORD FILM PRODUKTION – FRANCE 3 CINEMA – PATHE DISTRIBUTION/WISEPOLICY

監督・脚色:セドリック・カーン
出演:イザベル・カレ/ロメオ・ボツァリス/ヴァンサン・ランドン ほか


2007年08月27日 17:57

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