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イギリス発『タロットカード殺人事件』

ニューヨークを拠点に活動を続けて来たウディ・アレン監督が、イギリスで製作した2本目の作品が、この『タロットカード殺人事件』。前作『マッチポイント』に続き、スカーレット・ヨハンソンをミューズに迎え、軽妙なミステリー映画を作り上げました。

■STORY
ロンドンで、切り裂きジャックの再来とも騒がれる連続殺人事件が発生。狙われるのはブルネットの美女ばかりで、殺人現場には、いつもタロットカードが1枚…。

この事件の謎解きに挑む、ジャーナリスト志望の女子大生サンドラ(スカーレット・ヨハンソン)とマジシャン(ウディ・アレン)のコンビは、死んだはずの敏腕記者から、事件の真犯人の名前を耳打ちされるのですが…。

公式サイト

■ ウディ・アレン監督の描くミステリー

ロンドンを震撼させる連続殺人鬼の正体に迫る本作は、ヒッチコックのテイストにオマージュを捧げつつ、名探偵ポワロとミス・マープルを生んだ作家アガサ・クリスティーの推理小説を彷彿とさせるミステリーです。

監督自身も、製作にあたって「コメディであれドラマであれ、若い頃に楽しんだ殺人ミステリーのことは考えていた」とのこと。
若い頃は『影なき男』が好きで、ボブ・ホープの殺人ミステリーも好んで観ていたとのことですが、あえて影響を受けた…と言えば「50~60年代のアレック・ギネスやピーター・セラーズ主演のイギリス製コメディかな」というように、その根底に流れるのはテンポの良いセリフの応酬と、にわか探偵のコミカルな捜査劇。

この絶妙なミステリーとコメディのバランス感覚が、コミカルな中にも時にシニカルな笑いを盛り込みながら、映画を作り続けてきたウディ・アレンの手腕ならでは、と言えるかもしれません。

■映画から観るイギリス

●ウディ・アレン的ロンドンガイド

『マッチポイント』以前のウッディ・アレン作品の要素と言えば、ニューヨークにジャズ…でしたが、今回はイギリスを舞台に、音楽ではチャイコフスキーの「白鳥の湖」「くるみ割り人形」のバレエ曲から、フリオ・サンデルスやエルネスト・ナザレのラテンミュージックまで、多彩に取り入れています。

『マッチポイント』に続き、描かれるのはイギリスの上流階級の生活。例えば、主人公のサンドラが滞在している友人ヴィヴィアン(ロモーラ・ガライ)の家のある地域(Holland Villas Road,London W14)は、ロンドンでも屈指の高級住宅街のひとつ。 実業家や映画俳優が多く住むホランドパーク周辺にあります。ポートベロのノミの市やカーニヴァル、そして映画『ノッティングヒルの恋人』で有名なノッティングヒルもこの近くです。

さらに、サンドラが取材のために映画監督を訪ねるドーチェスター・ホテルも、政治家や上流階級がよく利用する由緒ある場所。
その他にもハイドパークやビッグ・ベンなど、ロンドンの名所の風景が満載で、さながらロンドンガイドのようにも楽しめる作品です。

■DATA
10月27日(土)、日比谷シャンテ シネ、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
2006年/イギリス/95分
配給:ワイズポリシー

(C)JELLY ROLL PRODUCTIONS LIMITED 2006/WISEPOLICY

監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ウディ・アレン/スカーレット・ヨハンソン/ヒュー・ジャックマン ほか


2007年10月24日 16:13

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