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ベルギー発『ロルナの祈り』

国籍を得るため一人の麻薬中毒者と偽装結婚した女性が、共に過ごす中で本当の愛に気づき、その思いを貫こうとする至極のラブストーリー。
これまでカンヌ国際映画祭で、2度のパルムドール大賞、主演男優賞を獲得したダルデンヌ兄弟。4度目となる本作でもパルムドール最有力とされ、最終的には脚本賞を受賞。4作連続での主要賞受賞という過去に例のない快挙となりました。
 
■STORY
銀行でわずか340ユーロの預金をしている女性。彼女の名前はロルナ。アルバニアからベルギーへやってきた。
この地で国籍を得て暮らしていくため、タクシー運転手でブローカーのファビオの手引きで、ベルギー人のクローディと偽りの結婚をし、共に暮らしている。

クローディは麻薬中毒者。偽りの結婚でも、ロルナを慕い、彼女を希望の光に麻薬を断とうとしている。そんな彼と共に暮らすうち、ロルナとクローディの間にはいつしか本当の愛が芽生え始めていた。しかし、彼女には決して彼に知られてはならない秘密があった…。
 
公式サイト

■ロルナが見出す未来と希望

ダルデンヌ兄弟の作品は必ずテーマに「裏社会」が絡んできます。本作でも偽装結婚、という裏社会に関することを描いていますが、それを重点において物語を作っていったわけではないと言います。
「裏社会との関係を中心に据えているわけではありません。人間のジレンマを描いています。夢を叶える為に、払わざるを得なくなった代償、犠牲を描いています。それが、たまたまマフィア、裏社会と関わっている。そしてこの映画は、道徳についての話であると同時に、ラブストーリーでもあります。失われたラブストーリーと、新しく生まれるラブストーリーです。」

裏社会に足を踏み込んでいたロルナが真実の愛を知り、その愛を貫こうとします。
彼女の祈りが届く時、愛の奇跡は訪れるのでしょうか?


■映画から観るベルギー
ベルギーをはじめとしたEU諸国は、現在移民労働者の問題で悩み続けています。
第2次世界大戦後、西欧諸国は不足する労働者を移民で補充する政策に転換。母国よりも賃金が稼げるため、移民たちはどんなに辛い仕事にも耐え、そのうちに家族呼び寄せるというケースも増えました。結果、移民労働者による共同体が作られ、納税者である彼らの発言力も強化されました。

ベルリンの壁崩壊以降も増え続けていた移民労働者ですが、不況に入ると失業率も上昇。リストラされ、路頭に迷う移民労働者が街に溢れました。犯罪も増え、当然治安も悪化。非難の矛先が移民に全体に及び、当局は移民労働者の帰国を促すと共に受け入れにも制限を加えました。
移民労働者と本国労働者との壁が高くなり、移民の人権問題にまで発展しています。


■DATA
恵比寿ガーデンシネマほか全国にて絶賛上映中!

2008年/ベルギー=フランス=イタリア/105分
配給:ビターズエンド

監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:アルタ・ドブロシ/ジェレミー・レニエ/ファブリツィオ・ロンジョーネ ほか

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2009年02月12日 10:47

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