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レバノン発『キャラメル』

女性たちが美しさを求めて集まるベイルートのエステサロンを舞台に、それぞれ事情の違う悩みを抱えた世代の異なる女性たちの人生を描く、ビタースウィートな愛と友情の物語。レバノン本国では6ヶ月間という驚異のロングランを記録、アカデミー賞レバノン代表にも選ばれた本作は、数々の映画祭でも高い評価を受けています。

■STORY
ベイルートの街角にある小さなエステサロン。ここに集まる5人の女性は、それぞれ人には言えないある悩みを抱えている。オーナーのラヤールは既婚男性との恋に振り回され、そんな彼女の姿を心配顔で見ているスタッフのニスリンも婚約者に打ち明けられない過去に苦しんでいた。
もう一人のスタッフのリマはサロンにやってきた美しい女性に惹かれていく自分に戸惑い、サロンの常連であるジャマルは外見を過剰なまでに意識し、老いていく自分を受け入れられない。
サロンの向かいで、年老いた姉の面倒をみながらひっそりと仕立て屋を営むローズは、自分の人生を諦めている…。

年代の違う5人がこの小さなサロンで肩を寄せ合い、支えあいながら新たな人生を歩み始める。

公式サイト

■甘くほろ苦い『キャラメル』の世界

ナディーン・ラバキー監督は本作を製作するにあたり、多くの人々の協力を得て撮影を進めました。
例えば、女性たちが着ている美しい衣装は、ラバキー監督の姉妹がデザインを担当したそうです。

「彼女は色々なスタイルの混じった奇妙な服をたくさんデザインしてくれました。彼女のユニークな観察力に感謝しています。服の色や生地の選択は、出演者たちのキャラクターを現実的で自然なものにしてくれました。」

また、シーンごとの表情を変えるのに重要な音楽を担当したのは彼女の最も身近な人物でした。
「この音楽を担当した人を、私はよく知っているのです…。彼は私の夫となった人ですから。(※映画の完成後に結婚)彼は作詞家であり作曲家で、フランス語の歌を入れた最初のCDをリリースしたばかりです。彼の音楽はいつも私にイメージを呼び起こしてくれます。彼はこの映画とともにすべての冒険を私と経験しましたので、どういう音楽が必要か、説明する必要がありませんでした。彼は『キャラメル』の中に東洋と西洋の混じった音楽を提供してくれて、音楽はこの映画の重要な要素になりました。」

このほかにも脚本・撮影など、細かなところにまで気を配り、『キャラメル』の世界は完成したのです。

■映画から観るレバノン
私たちの目から見ると、比較的自由な国に見えるレバノン。しかし、劇中の女性たちが抱える問題をはじめ、未だ昔からの風習が色濃く残っている国でもあります。
映画の中でラヤールは愛人と過ごすためにホテルを予約しようとしますが、どこへ行っても身分証明証の提示を求められます。これは、現在のレバノンでは未婚女性がホテルに宿泊することが許されていないためです。

同性愛の禁止や、処女であることの重要性など、宗教上の決まりを幼い頃から
教育されて育つレバノンの女性たち。
今日も彼女たちはまわりからの批判を恐れ、常に緊張しながら暮らしているのです。


■DATA
1/31(土)、渋谷・ユーロスペースほか
            全国順次ロードショー

2007年/レバノン・フランス/96分
配給:セテラ・インターナショナル


(C) Les Films des Tournelles - Les Films de Beyrouth
- Roissy Films - Arte France Cinema

監督・主演・脚本:ナディーン・ラバキー
出演:ナディーン・ラバキー/ヤスミーン・アル=マスリー/ジョアンナ・ムカルゼル ほか

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2009年01月15日 16:10

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