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カナダ=フランス発『灼熱の魂』

謎めいた二通の手紙を遺して他界した母親 その想像を絶する魂の軌跡をたどった
心震わす至高のヒューマン・ミステリー

カナダ、フランスなど世界各国で上演された、劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲「Incendies」を、2000年の官能スリラー『渦』で知られるケベックの気鋭監督ドゥニ・ヴィルヌーヴが映画化。
30を超える世界各地の映画祭で絶賛され、カナダのアカデミー賞にあたるジニー賞において、作品賞、監督賞、主演女優賞など8部門を獲得。さらにはアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品です。


■STORY

初老の中東系カナダ人女性ナワル・マルワンは、ずっと世間に背を向けるようにして生き、実の子である双子の姉弟ジャンヌとシモンにも心を開くことがなかった。そんなどこか普通とは違う母親は、謎めいた遺言と二通の手紙を残してこの世を去った。その二通の手紙は、ジャンヌとシモンが存在すら知らされていなかった兄と父親に宛てられていた。

遺言に導かれ、初めて母の祖国の地を踏んだ姉弟は、母の数奇な人生と家族の宿命を探り当てていくのだった……。

『灼熱の魂』公式サイト


■傑作戯曲の映画化

カナダから中東へと舞台を移しながら、現在と過去を行き来する本作のストーリーは、原作の戯曲「Incendies」の作者ワジディ・ムアワッドが8歳のときに体験した、1970年代半ばのレバノン内戦から着想を得たもの。

戯曲でも映画でも、中東の舞台については具体的に言及されておらず、「中東の国」とされています。これについてドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は次のように語っています。

「場所を特定するべきかどうか、この問題は脚色作業の間じゅうずっと私を悩ませました。最終的には戯曲を踏襲して映画も想像上の場所を舞台にすることに決めました。コスタ=ガブラスの「Z」のように政治的偏見から自由であるためにも。映画は政治をテーマにはしていますが、同時に政治とは無関係でもあります。また『灼熱の魂』の舞台は歴史的な地雷源でもあるのです。」


■映画から観るカナダ

本作の主人公ナワル・マルワンは、カナダで暮らす中東系カナダ人という設定です。

カナダはかつてイギリス・フランス両国の植民地であったという背景から、イングランド系、フランス系、スコットランド系、さらには先住民族の血を引く人など、様々な人種・民族を抱える国家です。また、英語とフランス語の2つの言語が公用語として憲法で認められており、日本人の私たちにとっては不思議な環境かもしれません。

カナダは1988年に「多文化主義法」を制定し、国の基本方針として多文化の共存を掲げています。これはそれぞれの異なる文化や生活習慣を尊重、保護しようという政策です。こうした政策や国家の成り立ちもあり、カナダは年間約1万人以上の難民を受け入れています。受け入れによる様々な弊害を避けるため、難民認定に対するハードルを設ける国が多い中で、カナダは多くの難民を受け入れるだけではなく、生活支援やさまざまな公的サポートも提供しているそうです。

ぜひこのような背景にも注目して、本作をご覧ください!


■DATA

12/17(土)より、TOHOシネマズ シャンテほか
全国順次ロードショー!

2010年/カナダ・フランス映画/フランス語/131分
配給:アルバトロス・フィルム


監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ルブナ・アザバル/メリッサ・デゾルモー=プーランほか

(c) 2010 Incendies inc. (a micro_scope inc. company) - TS Productions sarl. All rights reserved.


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2011年12月01日 12:55

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