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夏の風物詩 スコットランド・エジンバラ国際芸術祭開催

世界最大規模の芸術祭が今年もスコットランド・エジンバラで開催

夏こそ、真の芸術の季節?
 短い夏を満喫すべき、英国内のあちこちで野外フェスティバルやコンサート、各種イベントが行われるこの時期。なかでも花形といえるのが、スコットランドの古都エジンバラで行われる、エジンバラ・フェスティバル である。

 1947年から開催されるこのイベントには、映画はもとより、バレエ、オペラ、演劇、ダンス、コンサートなど、世界中からさまざまな分野の著名人が集結する。日本では演劇祭として有名だと思うけれど、映画のほうもなかなかに充実しているのである。

 13日からの開催期間中は、新旧の名作や招待作品を上映するオフィシャルスペースのほか、フリンジと呼ばれる自由参加の小さな公演が街中で行われ、街全体が一個の芸術空間となる。ロンドンなどに比べると、さらに涼しいスコットランドだが、この間だけは、各アーティストの放つ熱気や情熱に包まれるのだ。

 映画祭で上映される作品には、ニュー・イラン映画の傑作!という前評判の「A FEW KILOS OF DATES FOR A FUNERAL」(ブラックコメディ)や憂スペインの「ANTS IN THE MOUTH」(1950年代のハバナを舞台にしたスタイリッシュなスリラー)、中国、フランス合作の「LUXURY CAR (VOITURE DE LUXE)」(カンヌにも出品されたアート系作品)などなど。

 このほか、ヨーロッパでの韓流ブームを受けてか、サウスコリア映画は4本上映される。(がしかし、日本からの作品は、35ミリ作品の『初恋』(塙幸成監督)の1本のみ)。レトロなラブストーリーらしいが、英の映画界では「最近の日本映画はつまらなくなった」と言われているだけに、どんな評価を受けるか気になるところだ。

スコットランドとイギリス、それぞれのお国柄

 言わずと知れたことだが、イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの四つからなる連合国。イギリス人といえば、この4つの国すべての人々を指すことになるが、実際には人柄、言葉に大きな違いがあり、互いに差別しあったりしている。

 今年のワールドカップ開催中、スコットランドかウェールズだったかで、イングランドを応援した少年が、「イングランドを応援するな!」と自国愛に燃えるおじさんに頭を殴られる事件があったほど。外国人には理解しづらいことが、歴史的背景からか愛憎の歴史は深いのだ。

 ところで、一般的にスコットランド人といえば、ケチで酒好き、家族思いで人とのつながりを大事にするあったかい人々というのが、通説。たしかにロンドンなどに住むイングランド人に比べ、スコットランド人は親切で気取りがない(ような気がする)。

  スコットランドゆかりの著名映画人といえば、今年のカンヌでもパルムドールを受賞したケン・ローチ。自身はイギリスの中部出身(イングランド人)だが、アイルランドやスコットランド、英国北部を舞台にし、労働者階級や移民の心を描いた作品を多く撮り続けている監督だ。受賞作となった『バーレーを揺らす風』はアイルランドの独立戦争が舞台だが、『カルラ』『マイネーム イズ ジョー』『スィート・シックスティーン』などはいずれもスコットランド・グラスゴーを舞台にしている。これらの映画からは、温かく人に優しいスコットランド人のもうひとつの側面、労働者階級の苦悩や生活の苦しさなどが描かれている。

 この機会に,ふだんは気づかないスコットランド、ウェールズ、アイルランドの文化や特色や違いを考察してみるのもいいかもしれない。

エジンバラ・フィルムフェスティバルの開催は8月14日から27日までの2週間。

http://www.edfilmfest.org.uk/


TEXT BY シラヤナギリカ

2006年08月16日 22:54

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