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超私的! fromハリウッド連載感謝記念「MYベスト&ワースト」

突然ですが、私尾崎佳加は、今号をもちましてfromハリウッドのコラムを引退することになりました。長いようで短かった二年半。総集編を兼ねまして、こんな私のあんな発言やそんな暴言に私的に思いをはせてみました。

まずはこれまでの暴言暴走の反省も込めつつ、でもちょっと自賛しながら毒舌ぶりを回想。いっぱしに宗教風刺をやってみたり、ネタ切れに喘ぐハリウッドを斬ったり、聞いていてこっ恥ずかしくなるような「クサイ」セリフを我流にもっと恥ずかしく翻訳してみたり…。昨年は新年早々、アメリカの人気辛口番組に便乗し、さらに過激な脚色で暴走いたしました。これらの失言は密かに心の師と仰いでいたMr.ブラックウェルの影響だと思われます。一つ言い訳させていただけるなら、風刺は愛情があるからこそできるのであって…。ともあれ、編集のみなさまには度々ご迷惑をおかけしました…。

振り返れば、fromハリウッドの現地取材では、実に色んなことに挑戦させていただきました。セレブに人気のスポットや、映画ロケ地巡りはもちろんのこと、いきあたりばったりで無謀な企画も多々ありました。ガチで偶然スターに出会いに行った時など、本当に大物スターが現れてくれたから成り立ったようなもので、今思ってもヒヤヒヤです。スターの名前がつけられた土地を発見すれば、数十マイル飛ばして激写しにも行きました。ハリウッド大通りで映画にゆかりのあるスポットを探し出す企画では、誰に頼まれたわけでもないのに、7マイル(約10キロ)にわたって端から端まで、文字通りしらみつぶしの取材に挑んだり…。ばかばかしい企画ほど、やり終えたときは妙に達成感がありました。

めずらしく教育的な内容では、ハリウッド以前の映画の歩みに触れてみたり、白熱する米大統領選に言及したり、津波災害、アフリカの貧困救済活動に精を出すセレブリティーのチャリティー活動に焦点を当てました。これらは時にはお堅い話で読みづらい節もありましたが、映画ライターのはしくれとして、伝えるべきと判断してのことです。

映画は単なる芸術ではなく、時代が抱える社会を浮き彫りにする教科書でもあります。それが、私が映画に惹かれる第一の理由でした。ハリウッドで映画を追えば、必然的に、人種問題同性愛問題など、アメリカが抱える様々な歴史の副産物に触れます。真っ向から向き合うと痛みを伴う問題を、面白ろおかしくパロディーにして再考を訴える映画は、時に直接的なメッセージよりも人々の心に染み渡りやすいものです。

最後になりましたが、長期にわたり、応援くださった皆様に心から感謝いたします。来週からは新しいコラムニストが私とは一味も二味も違う弁舌を奮ってくれる予定ですので、引き続きご愛読をお願いいたします。

それでは皆さま、果てしなくお元気で…。


TEXT BY 尾崎佳加

2006年06月30日 13:45

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